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第 33 話

薔薇十字館殺人事件ファイル2

2015/11/21

  • 脚本:冨岡 淳広
  • 演出:中尾 幸彦
  • 作画:Han Sung-hui / Lee Sangjin
  • 美術:桐本 裕美子

はじめと美雪は、謎の人物・ローゼンクロイツからの招待を受けた高遠とともに世界初の青薔薇の完成披露が開かれるという薔薇十字館にやってくる。高遠はローゼンクロイツから出席しなければ完成披露に来る予定の異母妹を殺すと脅されており、はじめに妹を守ってもらえないかと協力を仰いだのだった。はじめたち以外の招待客は薔薇に所縁のある者ばかりで、はじめと高遠は彼らの言動からそれぞれが皆後ろ暗い過去を持っているのではないかと感じていた。
そして夕食の時、最初の惨劇が起きる。黒薔薇が添えられたクロッシュを開けた瞬間、皆の前に突然現れた皇翔の遺体。大手生花チェーン社長の皇が一体何故。疑いの目は配膳した世話人、毛利に向けられる。しかし、はじめはダムウェイター(配膳用昇降機)の中で皿がすり替えられた可能性もあり、薔薇が弾け皆の目が一瞬それた隙に、戸板返しによってテーブルの下に貼り付けてあった皇の遺体が現れたと推理する。
このトリックであれば誰しもが可能。つまり、その場にいる全員が容疑者だった。それを聞いた招待客たちは、一斉に館を飛び出す。しかし、逃げ出した先で彼らが見たのは唯一の通り道であるアーチを塞ぐ無数の薔薇だった。何とか薔薇を振り払おうとする薔薇園経営者の小金井。だが、その直後、小金井は震えながら息絶える。薔薇の棘には猛毒が塗られていたのだ。それはローゼンクロイツによって、毒薔薇の檻に閉じ込められてしまったことを意味していた。
翌朝5時半、館内の時計が一斉に鳴り響く。再び届いたローゼンクロイツのメッセージに従い、北の端の円形応接室前に集まる招待客たち。青薔薇のお披露目がついになされるという。だが、応接室は内側から鍵がかかっていた。仕方なくテラスに回り室内を覗き込んだ招待客たちが見たもの、それは床一面に敷き詰められた青薔薇と、白薔薇によって形作られた十字架の上で、胸に杭を突き立て息絶えている祭沢の姿だった。それはまさにキリストが2人の罪人と共に十字架に貼り付けにされたといわれる、ゴルゴダの丘を思わせる光景だった。青薔薇の花言葉は不可能、白薔薇の花言葉は潔白を失い、死を望む。招待客たちは床の青薔薇に踏まれた形跡がなく、さらに窓は全て内側から鍵がかかっていたことから、皇と小金井を殺害した祭沢が自ら命を絶ったのではないかと疑う。しかし、はじめと高遠の二人だけは、この推理にある違和感を覚えていた。

    

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