ライト役は豊永さんしかいないと思いました
――第13話からは物語がひとつ次のフェーズに入った印象があります。2クール目の【タクティクス編】は、どのような物語として位置づけているのでしょうか?
1クール目は、トモロウとゲッコーモン、そしてグローイングドーンというチームの物語を中心に描いてきました。いわば、「この世界にはどんな人たちがいて、どんなルールでデジモン事件が起きているのか」という基礎工事の部分を、視聴者の皆さんと一緒に確認してきた段階ですね。2クール目では、そこから視点をぐっと引いて、「この世界全体の中で、グローイングドーンはどういうポジションにいるのか」を描いていきます。この世界には“クリーナー”たちがいて、日常的にデジモン事件を解決している。その大きな流れの中に、トモロウたちのチームも位置づけられているわけですが、1クール目ではまだその全体像がぼんやりとしか見えていませんでした。そこに、五行星やタクティクスといった新たな組織・ライバルチームが登場することで、彼ら自身の在り方や信念も問われていく、そんなシーズンになるイメージです。
――新たに登場する五行星とタクティクスについて、キャラクターデザイン面で意識したポイントを教えてください。
五行星という名前の通り、それぞれが“強さ”や“格”を感じさせる存在である必要があると思っていました。画面にパッと出てきた瞬間、「あ、こいつらちょっと只者じゃないな」と伝わらないといけない。その上で、シルエットを見ただけで「あ、あいつだ」と分かるようなキャラ造形にしたい、というのはキャラクターデザインの小島隆寛さんとも最初から話していたところです。シリーズ構成の山口亮太さんや脚本陣が「このキャラはこう動いたら面白そうだよね」というアイデアをどんどん出してくれて、それに負けないデザインの強さをどう出すか。髪型や体格、肌の色合い、服のシルエットなど、細かいバランスを何度も調整していきました。設定画だけで見てもキャラが立っていて、さらにアニメーションで動いたときに、ちゃんとその人らしさがにじみ出るようなラインを目指しています。一方で、あまりにデフォルメしすぎると、この世界観の中では浮いてしまうので、あくまで“この世界の人間”として成立しつつ、個性が立つラインを探っていく作業でもありました。例えば「この髪型はかっこいいけれど、ちょっと現実離れしすぎて見えないか」とか、「もう少し要素を削いでいったほうがキャラとして強く見えるのではないか」といったやり取りをしながら、今の形に落ち着いています。

――2クール目でトモロウたちの前に立ちはだかるタクティクスのキャラクターデザインも個性的ですね。
タクティクスは、クレイの指揮のもとに動く、規律や統率を重視したクリーナーチームです。グローイングドーンが、いい意味で自由でちょっとガチャガチャしたチームだとしたら、タクティクスは軍隊的なチームというイメージですね。服装のカラーリングを揃えて、統一感のある軍服のようなデザインにしつつ、よく見ると一人ひとり微妙に違うディテールが入っている。完全な没個性にはせず、チーム感を出しながらも、それぞれのキャラクター性が伝わるようにデザインしてもらいました。例えば、同じジャケットでも丈やシルエットを少し変えてみたり、アクセサリーや髪型で個性を出してみたり。トモロウたちと並んだときに、シルエットでも関係性が分かるようにしたかったので、ライバル同士のカラーリングの相性や、画面に並んだときのバランスもかなり意識しています。トモロウとライトといった組み合わせがぶつかったときに、ビジュアルでも気持ちよく噛み合うようにしたつもりです。まだ出会って間もない彼らの関係性が、色や形の対比だけでもなんとなく伝わるような画面作りを目指しています。

――ライト役の豊永利行さんについてはどんな印象がありますか?
豊永さんとは別作品でご一緒したことがあって、お芝居への向き合い方やキャラクターの作り込み方が本当に素晴らしい方だと感じていました。一つ一つのセリフに、どんな感情や背景が乗っているべきかをすごく丁寧に考えてくださるんです。いつかがっつりご一緒したいと思っていたところに、ライトというドンピシャな役が来たんです。ライトは、自分を天才だと信じて疑わないような、かなり生意気なキャラクターとして登場します。相手を見下したり、鼻につく言動も多いのですが、なぜ彼がそういう振る舞いをしてしまうのか、どんな弱さや背景を抱えているのかが、この先少しずつ見えてきます。そういう複雑さを、芝居の解像度で表現してくれる人じゃないと成立しないキャラクターだと思っていたので、「この役は豊永さんしかいない」とお願いしました。実際、アフレコが進むごとにライトというキャラクターがどんどん立体的になっていっていて、ちょっとした言い回しや間の取り方だけでも、「あ、今こういうことを考えているんだな」と伝わってくる。演じていただけて本当に良かったと感じています。

デジモンならではのチームバトルにしたかった
――2クール目の【タクティクス編】からは本格的なチームバトルが本格化していきます。チームバトルを取り入れようと思った意図を教えてください。
企画のかなり早い段階から、「テイマー同士のバトル」「クリーナーチーム同士のぶつかり合い」という構図はやりたいと話していました。せっかくチームとして活動しているキャラクターたちがいるなら、その“チームの強さ”や“戦術の違い”がちゃんと見えるバトルをやりたいな、と。e-パルスやクリーナーという設定を活かせば、単にデジモン同士が戦うだけでなく、人間側の戦術や感情がバトルに直結する物語にできるはずだと考えたんです。誰がいつe-パルスを込めるのか、その判断が勝敗を分けることもある。そうなると、自然と人間側のドラマとバトルの展開が一体になってきます。グローイングドーンも、もともとクリーナーチームとして活動しているので、それぞれの戦い方の特徴を活かしつつ、チームとしてどう連携していくのか。一方で、タクティクスはより軍隊的な統率や作戦を重視して戦う。その二つがどうぶつかるのかを見せることで、デジモンならではのチームバトルにできればと考えました。単純な力比べではなく、考え方の違いがそのまま戦い方の違いになっている、というのがポイントですね。
――バトルシーンの見せ方について、今作ならではのこだわりはありますか?
ターゲットの年齢層を少し上げていることもあって、バトルのテンポ感やカメラワークは、今のバトルアニメの空気感も取り入れながら、スピード感のあるものにしたいと思っていました。視線の動きが自然に誘導されるように、カット割りや構図もかなり細かく詰めています。さらに今回は、e-パルスがあることで、「人間側がどれだけ強い感情を持って立ち向かえるか」が、そのままデジモンの強さや動きに影響してきます。応援するだけではなく、一緒に戦っている感覚が強いんですね。その分、バトルの構造はこれまでより複雑になっていて、単に必殺技を撃ち合うだけでは成り立たないようになっています。どのタイミングで誰がe-パルスを込めるのか、どのデジモンがどう連携するのか、といった駆け引きも含めて、デジモンらしいチームバトルとして楽しんでもらえたら嬉しいです。技の一発一発に、キャラクターの選択や覚悟が乗っているイメージですね。制作的にはかなり大変なんですが(笑)、そこは「この作品ならではの見どころ」だと思っているので、妥協せずにこだわっていきたい部分です。

――バトルシーンは2クール目でさらに増えていくということですね。
どうしても増えちゃいますね(笑)。ライバルチームが出てきて、五行星も本格的に絡んでくるとなると、自然と戦わざるを得ない状況が多くなっていきます。日常パートの中にも、ふとした瞬間に緊張感のあるバトルが挟まってくるような構成になってきていて。その分、制作現場からは「大変です」と言われてしまうのですが……そこはみんなで知恵を絞りながら、なんとか乗り切っているところです。バトルの数が増えるだけでなく、密度や情報量もどんどん上がっていくので、コンテやアクション作画の段階から、スタッフ全員で「どうしたら一番気持ちよく見えるか」を話し合いながら作っています。少年漫画的なノリも含めて、1クール目よりさらに熱くなっていくと思います。「あ、ここから一段ギアが上がったな」と感じてもらえたら嬉しいですね。

――そうした“少年漫画的なノリ”は、『ONE PIECE』などに携わってきた宮元監督ならではの持ち味にも感じます。
自分自身、ジャンプ的な物語の熱量や、ライバルとのぶつかり合いが大好きなんです。互いにボロボロになりながらも、言葉や拳を交わすことでしか分かり合えない瞬間がある、みたいな。そういうものにずっと心を動かされてきました。これまでに学んできたことを、『DIGIMON BEATBREAK』の中でどう活かせるかはずっと考えていますね。ただ、単に「ジャンプらしいことをやる」のではなく、デジモンというシリーズの文脈の中で、キャラクターたちの関係性や成長とちゃんと結びついていることが大事だと思っています。それがデジモンというシリーズの新しい可能性につながるのであれば、どんどん出していっていいのかなと思います。
――最後に、これから作品を観始める方、そして第13話まで追いかけてくれたファンの方に向けて、今後の見どころやメッセージをお願いします。
1クール目までは、世界観やキャラクターを丁寧に説明しながら、種まきをしてきた段階だと思っています。トモロウたちがどういう性格で、どんな過去を抱えていて、どんな仲間たちと出会ったのか。そのベースがあるからこそ、ここから先、彼らが何に悩み、何を選び取っていくのかがより響いてくるはずです。2クール目からはいよいよ、その種が一気に花開いていくフェーズに入ります。新しい敵やライバルチームがどんどん登場して、バトルもドラマもさらに濃く、激しくなっていきます。「ここからが本番」と言ってもいいくらい、面白くなる要素しかないと思っているので(笑)、期待値高めで観ていただいて大丈夫です。これから観始める方も、まずは1クール目で土台を味わっていただければ、その先の展開をより楽しんでもらえると思いますし、ずっと追いかけてくださっている方には、「ここまで観てきて良かった」と思ってもらえるような展開を用意しています。スタッフ・キャスト一同、全力で盛り上げていきますので、これからも『DIGIMON BEATBREAK』を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

