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Visiting Production 会社訪問

【第25回/2013年11月号】神央薬品株式会社

岡村美里(以降 岡村):今日は、中野区にある神央薬品さんに来ました。代表取締役であるノブタコウイチさんにいろいろお話を伺いたいと思います。業界のこと、お仕事のこと、呑んべぇJAPANのことなどを聞きたいと思います。

一同:今日はよろしくお願いします!

乙藤未来(以降 乙藤):あのー、最初になんですがプロフィールにある呑んべぇJAPANって何ですか?

ノブタコウイチ社長(以降ノブタ):呑んべぇJAPANは今一番力を入れて取り組んでいる事ですね(笑)。本業より力を入れているかも知れません。CG、VFXに携わっているお酒好きの人で飲み会を開いて交流を強めていく組織です。ここで出会って仕事に繋がったりとかいう事もチラホラあったり無かったり・・ 春には花見、夏にはBBQ,新年会が大きな行事でたまに小規模で突発で飲み会をやったりしています。大体70人~80人位は集まりますね。全体では450人位います。

乙藤:70人、80人集まる場所はあるのですか?

ノブタ:まぁだいたい行きつけの店とかですかねぇ。結構みんな酔っ払っているので、本音が聞けて面白いですよ。

小池万瑠美(以降 小池):あともうひとつプロフィール見て不思議なのは、会社は薬品会社さんですよね?

ノブタ:そうです。日々薬品の開発をしたり、病院に薬を卸したり、、、はしていません。

小池:えっ、

ノブタ:元々親が病院の調剤薬局をやっていて、ちょうど僕が会社を興そうとしていた時に親も引退し会社を閉じようとしていました。そういうタイミングだったので勿体無く思い、会社を継ぐという親孝行も出来るし、起業する手間も省けるし、一石二鳥という事で会社を引き継ぎました。最初は名前も変えようと思っていたのですが、スタッフに話したら「え?薬品のままの方が面白くない?」という意見を貰ったのでそのままにしています。未だにプロダクションさんに電話すると怪訝な声で「ご用件はなんでしょうか?」みたいに言われるのも楽しみの一つです。

中村桃子(以降 中村):スタッフは何人でしょうか?

ノブタ:僕含めて12名になります。1名が総務的にパートで手伝いに来て貰っていて僕はあんまり制作作業をしてないですが、制作スタッフとしては11名になります。僕がプロデューサーとディレクターとプロマネ、経理を兼任でやっているので、純粋には10名の作業スタッフとなります。

網倉理奈(以降 網倉):神央薬品さんの強みは何でしょうか?

ノブタ:キャラクターアニメーションが一番の売りなのですが、ミサイルや硬いもの、触手など動く物は何でも動かせるのが強みです。あとは実写映画、フルCG映画、アニメ、CM、ゲームムービー、リアルタイムアニメーションといったアニメーションというものであれば全てに対応できるのも売りです。

齊藤奈津子(以降 齊藤):例えば、新人さんが入社されたらどうアニメーションを教えていくのでしょうか?

ノブタ:最初はボールのバウンスアニメーションからやって貰います。そこから歩行サイクル、リグのセットアップ構造まで一通り経験してもらいます。走りや動物などの動きの練習ですよね。あとは反復してそれをやってもらいます。1回目より2回目の方が早くなるし10回やればかなり早くなります。それを大体3ヶ月間位やって貰いますが、早い人だと2ヶ月位で現場にいきます。

岡村:アメリカのアニメーション、例えばディズニーの動きと、日本のアニメーションの動きって違いますよね?

ノブタ:アメリカのアニメーションは身体を使って表現しますよね。特に喋る時は手を使ったり足を踏み変えたりとか、時には首も使って。あとは予備動作が大きいですよね。例えばミッキーマウスとかだと走る前に逆に動くポーズを入れたりすることが大きかったりします。基本は日本のアニメーションもそうやっているのですが、僕はやはり文化の違いなんだと思います。やっぱりやりすぎると、なんかわざとらしい演技になってしまうので難しいところですよね。

乙藤:ノブタさんは、いつからこういった仕事をはじめようと思いましたか?

ノブタ:僕は27歳まで車工場で働いていたのです。工場で交通安全のポスターとかも作っていました。元々昔からプログラミングやゲームは好きだったんで、ずっとパソコンを触っていられる職業に転職したいなって思ってたんです。あとパソコンが3度のメシより好きでパーツを買い漁っては自作をしたりしていました。そんな時に自分が描いたポスターで結構連続に賞とか取れたりして「お、これはいける!」と思ったのがキッカケですね。それからCGの仕事に就きました。

乙藤:車のCGは得意ですよね?

ノブタ:中身は詳しいですけど、外観はそうでもないですよ。その当時、僕は「ネジの神様」と言われていて、、、

中村:なんですかそれ?

ノブタ:ネジの品番は10桁なんですよ。それを覚えるのが得意だったんです。色とか頭の形とかで番号が決まります。その法則を見つけるのが楽しいというか得意なんですよ。

中村:何か他に影響受けたもの、映画とかゲームとかって何ですか?

ノブタ:FF10(ファイナルファンタージー10)ですね。今でもあの水のCGに衝撃を受けたのを覚えています。映画だと「インデペンデンス・デイ」とか分かりやすいハリウッド映画は大好きでした。「ワンピース」とかエンターテインメント性の強い作品は今でも好きですね。

乙藤:好きな作品に関わるってどんな感じですか?

ノブタ:まだまだですが何とかここまでは来たなと思いました。ちょっと説明が難しいですが、子供の頃にアニメを見ていてやりたいと思ってもやれるって思わないじゃないですか。いろいろあってここまで来れたんだって感じですねぇ。いろいろな人と人との繋がりでその作品に参加できたわけですから。ここまで来させてもらったって感じですけねぇ。

小池:感謝の気持ちが大きいって感じなんですね。

網倉:社長業の醍醐味というか、楽しさは何でしょうか?

ノブタ:やっぱり会社というか従業員が成長していって、去年出来なかった事が今年出来るようになっていくという事でしょうか。例えば1人でやっていると1人分だけど、会社で10人いれば10人分の成長があるわけだから、そういうのが楽しいです。ただリスクは凄いあるけど、その分上手く物が運んだり、色んな作品に関われたりしてその時には苦労が報われた感がありますよ。多分、社長っていってもやる事はみんなそんなに変わらないと思うんですよね。結局仕事って人対人なわけで、それって信頼して仕事をお願い出来るかどうかだと思うんですよ。社内でも社外でもやっぱりこの人に頼みたいってのはありますからね。やっぱりお酒だけ飲んで付き合いをしていても仕事をお願いされるわけでもないですし、結局は作った物で信頼関係を築いていくしかないように思えます。

岡村:今日はありがとうございました。また、いろいろ勉強になりました。「呑んべえJAPAN」という組織のほうもがんばってください!

INTERVIEWER:
岡村美里(ワオワールド)/ 乙藤未来(声優)/ 小池万瑠美 (声優)/ 中村桃子(東京フィルムセンター映画・俳優専門学校3年生)/ 網倉理奈(東京フィルムセンター映画・俳優専門学校1年生)/ 齊藤奈津子(東京フィルムセンター映画・俳優専門学校1年生)

EDIT&PHOTO:Enhanced-Endorphin

取材を終えて

神央薬品株式会社 CG開発室
1975年7月に薬品会社として神奈川県座間市に設立、2012年2月1日にCG開発室を立ち上げ事業内容をCG業務のみに変更。
神央薬品株式会社 CG開発室
Zinou Pharmaceutics,Inc. CG dept.
〒164-0012
東京都中野区本町6-35-14 アダチビル3F
TEL: 03-3383-0401
FAX: 03-3383-0402
http://www.zinou.jp

神央薬品 CG開発室・クレジットリスト:
『アシュラ』 2012年
『妖怪人間ベム』2012年
『ONE PIECE FILM Z』2012年
『牙狼<GARO> 〜慟哭ノ魔竜〜』2013年
『ドラゴンボールZ 神と神』2013年
『キャプテンハーロック』 2013年
代表取締役 ノブタコウイチ
CG Producer/Director  1976年生まれ 神奈川県出身
呑んべぇJAPAN共同代表 / Visual Effects Society会員/ HAL東京 非常勤講師
映画、CM、ゲーム、遊技機等CG制作に携わる

ノブタコウイチ・クレジットリスト:
『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者 デオキシス』2004年
『ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ』2006年
『ヤッターマン』2009年
『鴨川ホルモー』2009年
『カムイ外伝』2009年
『ONE PIECE 3D 麦わらチェイス』2011年
『怪物くん』2011年
『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』2012年
『ドラゴンエイジ ブラッドメイジの聖戦』2012年
『ウルトラマンサーガ』 2012年
『アシュラ』 2012年
『ONE PIECE FILM Z』2012年
『妖怪人間ベム』2012年
『牙狼<GARO> 〜慟哭ノ魔竜〜』2013年
『ドラゴンボールZ 神と神』2013年
『キャプテンハーロック』 2013年
『劇場版SPEC~結~』 2013年

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