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【第35回/2016年3月号】株式会社武右ェ門

「武右ェ門」という社名の由来

岡村美里(以降岡村):今日は武右ェ門さんにお邪魔しました。パン屋とパン工場だったところにオフィスを構えているだけあって、とてもユニークなオフィス配置であるのが印象的です。それでは高山さん、今日はよろしくお願いします。

高山清彦(以降高山):よろしくお願いします。

岡村:何度も聞かれていると思うのですが、社名の「武右ェ門」というのは変わった名前ですが、由来を教えていただけますでしょうか。

高山:私の実家の屋号が「武右ェ門」という名前なんですね。元々山形の肘折温泉という温泉街の旅館をやっていたんです。曾祖父の代で旅館は畳んだんですが、名前だけは継がれていて父親で二十何代目と長く続いています。その地域では今でも「高山さん」と呼ばないで屋号の「武右ェ門さん」と呼ばれていて。なので会社を立ち上げる時に父親に「武右ェ門」という名を使っていいかと話し、「武右ェ門」という名前で会社を立ち上げることにしました。

岡村:会社のロゴになっている家紋も代々継がれているものなんですか?

高山:そうですね、家の家紋です。「違い鷹の羽」というものになります。

岡村:「武右ェ門」家というのはどのくらい続いている家系なのでしょうか?

高山:正確にはわかりませんが、室町時代あたりにその土地にいたという話しは聞いてます。

岡村:想像以上に古くてびっくりしました!

岡田文栄(以降岡田):プロフィールの写真が和服ですが、社名と合って素敵ですね。

高山:社名も和風なのでと思いまして使っています。

岡田:次の質問にいきたいと思いますが、武右ェ門さんはどのような会社かご説明いただいてよろしいでしょうか?

高山:アニメーションや映像の企画・制作会社ですね。

岡田:デモリールを拝見してますと水彩画タッチの映像制作もされていますが、作り方というのは通常のCGと違うのでしょうか?

高山:使っている3Dソフトウェアは同じですが、例えば水彩画タッチものなどは後処理という撮影で処理しています。つまりコンピュータで計算した画像をPhotoshopのようなもので加工して作っています。

岡田:どんなジャンルの仕事が多いのでしょうか?

高山:アニメ作品が多いですね。特にずっとアニメーションにこだわってきたので、そこはこれからもこだわって制作していきたいですね。そして「動き」で魅せられる作品というのを提示していけたらと考えています。

岡村:そういうアニメーションの動きをみせていく、アニメーションを作りたいという気持ちがあったから、文化庁のOJT(オン ザ ジョブトレーニング)にも取り組んでおられるんですか?

高山:若手アニメータ人材育成事業として、企画を募集しその中から年に4作品が選定されます。それに選定されれば各会社が制作出来るものです。今回は弊社が選定されました。

岡村:どういう想いがあって応募されたのですか?

高山:なかなか私たちのような小さい会社ですと、自分たちが作りたいものを制作することが難しいんですね。オリジナル作品とか。

岡村:それは水彩画タッチのような映像ですか?

高山:タッチはどういった方向でもいいと思っています。ただ一番こだわっているのは動き、アニメーションだと考えています。そこを追求したいと考えています。なので、企画提案したのはそのような作品になります。

CGの仕事に就いたきっかけ

岡田:この仕事をはじめたきっかけは何でしょうか?

高山:「スチームボーイ」のCG制作に関わっていた友達がいたんですね。
その当時、制作管理しているスタッフにCGを知っている人材がいなかったようで声をかけられたのがきっかけです。
私は大学を出て、ゲーム業界に就職したくて応募したのですが、経験者しか採用しないと言われたんです。プログラマーかCGかどちらかみたいな。それでCGを学ぼうとCGの専門学校に行ったんです。その時の友達から声をかけられました。

岡田:大学は理系だとプログラマーではないですか?

高山:CGがカッコいいと思い、CGを専攻しました。

岡田:大学では何を専攻していましたか?

高山:大学では数学をやってました。その頃は、なんか数学が楽しい、カッコいいと思っていたんですね(笑)

岡田:数学がカッコいいって素敵ですね。大学の時からパソコンやっていたんですか?

高山:大学ではほとんどパソコン触ってなかったです。CGの専門学校からですね。

岡田:それでサンライズさんに入られたんですね。

高山:そうですね。

岡村:御社のサイトを拝見していると、アニメ案件と実写案件両方がありますが、どういった趣向で仕事をされているんですか?

高山:アニメーション映像の企画・制作会社を謳ってるので、その領域、つまりアニメーションをベースに仕事をしたいとは考えています。

スタッフとのコミュニケーションを大切にしています

岡村:「GAMERA」(2015 生誕50周年記念映像)にも参加されていますよね?

高山:「SHORT PIECE」(2013)の「GAMBO」の企画に石井(克人)監督が参加されていて、その時にご一緒したんですね。その時にウチのスタッフを気に入ってもらい、その繋がりで石井監督が「GAMERA」をやる時に、「GAMBO」のスタッフならガメラとか恐竜とかの動きができるんじゃないかと思ってもらい声がかかりました。工程としてはプリビズ、アニメーションを担当しました。カメラワークやクリーチャーの動きを決める作業です。

岡村:火とかはやってないんですか?

高山:プリビズとしてのエフェクトはやりましたが、実写素材としてはやってないですね。ただ、はじめて実写の仕事で、アニメ仕事とは違う段取りには苦労しましたけれども、仕事としては凄く面白かったです。私たちがやってきたアニメーションというものが他のジャンルにも活かせることがわかったこと、実感できたこともよかったです。

岡村:仕事の繋がりとかスタッフさんに恵まれている感じがよく伝わります。

高山:ありがとうございます。大事にしていることです。優秀なスタッフを集めることを主としていて、そのスタッフを集める事でいいものができると考えています。その流れを作ることが私の仕事だと思っていますので。

岡村:優秀なスタッフを集めることがこだわりでもあるんですね。

高山:このスタッフはこういう性格だからこういうのがいいかな、とかわかっているとすごくやりやすいというか、うまく仕事が流れますね。なのでスタッフとの交流は意識的に大切にやってますね。

岡村:Facebookを拝見したのですが、会社のBBQとか、ハロウィーンだからお菓子をたくさん集めるとか素敵な会社だなぁと感じられるのですが、円滑なコミュニケーションをすることで会社の雰囲気が違ってきますか?

高山:違うと思っていますし、そこは切り離せないかもしれませんね。

岡村:大家族みたいな会社で仲良くていいなぁと思いました。

高山:そう言ってもらうと嬉しいです。ありがとうございます。

アニメーションを勉強するには、どうしたらいいか?

岡田:アニメーションを勉強するにはどうすればよいでしょうか?学校に行ったほうがいいのでしょうか?

高山:独学で一人でやるよりは、アニメーションは共同作業なので学校に行ったほうがいい気がしますね。共同作業を学ぶという意味でも大切ですし、仕事となると長期間の仕事になります。いろんなスタッフとの共同作業なのでそういった経験はしておいてほしいですね。そうでないと長く続かなかったりしますから。

岡村:技術だけでなく、そういったところも大切なんですね。

高山:学生の時の友達は利害関係ないところでの関係性だから、友達を作るという意味でもいいですよね。また専門学校の友達だと社会人になると同業者として各社に散らばるので、情報交換ができるという意味でもいいと思います。

岡村:CG業界に入ろうと考えている学生さんがいたら、学生の時に何をしておいたほうがいいと思いますか?

高山:学生の時だと、自分が使える自由な時間が一番あると思うので、いろいろ観察することが大切だと思います。いいものを見たりとか触ったりとか、普段の行動のなかで自然に観察できる癖をつけておくことは大切です。あと下地としてデッサンとかアニメーションの動きを観察するとか、どれだけインプットするかでしょうね。それがその人の練度になってくるので是非がんばってほしいですね。あと学生の時に壮大な作品を1本作りましたというより、1ヶ月に1本とか数をこなしてもらったほうがいいと思っています。確実にやって反省して次にそれを活かすという繰り返しの数がその人のレベルを上げるから、とにかく繰り返すことを経験してほしいですね。

岡田:時間があるうちに、たくさん様々なものを作ったほうがいいということですね。

高山:仕事が始まるとなかなかそうはいかないので。とにかく学生の時にいろいろ作ってみてほしいんですよね。

岡村:新人をどう採用するんですか?

高山:最近感じるのは、みんな家があるじゃないですか。会社も同じで“育ち”があると思うんですよね。私だとサンライズ育ちで、サンライズのやり方をベースに、考え、判断しながら無意識に仕事をしていると思っていて、同じ感じでみんなも、どこそこの会社から来ましたという育ちがあると思います。それで仕事が詰まってくるとその育ちがわかるというか。逆に新人はそういうのがないので、それをここで身につけてほしいというか感じとってほしいとは思っています。それと、見ていると新人から制作してもらっていると、ある日急にあるレベルを越えることがあるんですね。凄いクオリティの絵が出るというか。それは嬉しいというか頼もしいですよね。

岡村:現時点で社員さんは何名くらいですか?

高山:20人ほどです。

岡村:その中で新人さんからという方はどのくらいおられるのでしょうか?

高山:ほとんどじゃないですかねぇ、、やはり新人を育てるのは苦労もありますが、そのレベルを越える瞬間を見ちゃうと。それを楽しみにしているところもあるので。

岡田:分業はどのくらいされているのですか?

高山:方針としてはあまり分業していないです。仕事の状況に応じて分業しないといけないときもありますけど。スタッフそれぞれに向き不向きはありますが、自分の立ち位置を理解させる為にも分業はあまりしていないです。アニメーションをするためのモデリングとか、他セクションを知っておいたほうがいいと考えているので。ただ経営的にも作業効率からも分業は楽なんですよね。なので意識的にいかにそうしないかと考えていることろはあります。

岡村:人材はどのように探すのでしょうか?

高山:基本的にはアニメーター人材ベースで探します。アニメーターとモデラーは根本的に違うのはありますが。それぞれに求められる能力が違い、隔たりがあるので将来的にはどちらに行くかは感じとっておきます。

岡田:求められる人材はどうのような人ですか?

高山:最終的には、やる気と情熱が大切だと思います。

岡村:技術よりですか?

高山:技術は下地ですからね。もちろん必要ですが、継続するにはやる気ですかね。

岡村:私たちも情熱をもってがんばっていきたいと思います!

岡村岡田:今日はありがとうございました。今後の益々のご活躍を期待しています。

株式会社武右ェ門
株式会社武右ェ門
〒166-0004
東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-36-14 レオ第11ビル3F
TEL:03-3316-6741
http://www.buemon.com

履歴
■設立
2014年4月2日

■代表取締役
髙山清彦

■事業内容
1. テレビ、映画、ビデオ等のアニメーション作品・映像作品の 企画制作、販売並びに賃貸
2. 前号の作品制作より派生する各種商品の企画製造、販売並びに著作権、商標権、実用新案権、意匠権の管理運営
3. グラフィックデザイン、コンピュータグラフィックスの企画、制作
4. コンピュータソフトウエア及びコンテンツの企画、開発、制作及び販売
5. 前各号に附帯関連する一切の業務

■代表挨拶
今年2014年4月2日、サンライズ練馬スタジオのCGスタッフと共に、
新会社「武右ェ門」を立ち上げました。
スチームボーイスタジオから作り続けてきた作品の意志を持つ、
CGをメインツールにしたアニメ・映像制作会社です。
社名にいろいろな想いを込めたいと悩みましたが、その中でも日本らしさを入れたい、
できれば自分らしさも入れたいと考え、私の実家の屋号である「武右ェ門」としました。

CGはこれからも映像業界に限らず、
もっと必要とされる道具になると思います。
表現方法や作り方、もしかしたら新しいジャンルも生まれるかもしれません。
まだまだ大きな変化をもたらすと思います。

その変化を自ら進んで変えていくような、
そんな会社でありたいと思ってます。

そして、作品を見てくれる人を楽しませたい。
作品を一緒に作る仲間を喜ばせたい。
そう思いながら、一人一人が日々モノづくりをする、そんな会社でありたい。
そういう人たちが集まる集合体でありたい。
そう思ってます。
これから「武右ェ門」をどうぞよろしくお願いします。
INTERVIEWEE
髙山清彦(武右ェ門 代表取締役)
INTERVIEWER
岡村美里(ワオ・エージェンシー)
岡田文栄(マーキュリング)
EDIT&PHOTO
野口光一(Enhanced-Endorphin)


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