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【第34回/2015年12月号】株式会社ハイドロイド

"見えないものを可視化する"ことをテーマに制作

岡田文栄(以降岡田):とってもオシャレなオフィスなので、こんな場所で働けるのが羨ましいです。それでは、今日はよろしくお願いします。

一同:よろしくお願いします。

岡田:まずはハイドロイドさんがどのような会社なのかご説明していただいてよろしいでしょうか?

谷合孝志(以降谷合):私たちは、"見えないものを可視化する"ことをテーマにした会社です。画像を作る時には、そこにモノがあって撮影をしますが、私たちは無いモノを可視化するプロフェッショナル集団として現在11名で制作を進めています。私自身は、ビジュアルディレクションを担っておりますが工業機器のプログラミングと山本寛斎デザイナーの経験を活かしつつ3Dプリンターを使用して立体造形もやっております。永田はサイエンス・ディレクターとして分子微生物学のプロフェッショナルです。細胞膜表面ですとか、血管であるとかリンパ腺がどう通っているかとかを学術的に検証しながらビジュアライズすることを行っています。

岡村美里(以降岡村):すごく難しそうなことですね。

谷合:広告の場合は、イメージ優先で創ることが多かったんですね。美味しそうとか、カッコいいとか。もちろんそれも大切なことですが、私たちの仕事は科学にまつわる仕事が多いものですから、学術的に正しいものとして可視化することを行っています。

岡田:リアルに創るということではダメなんですか?

永田雅己(以降永田):そもそもリアルがない世界なんです。

谷合:血管や細胞の中に入って写真が撮れないので。

永田:それに色がないような世界なんですね。細胞膜表面は1メートルの10億分の1の世界ですし。

岡田:そういうのはどうやって創るのですか?1から創るのですか?

永田:解析データや資料、論文から作成することが多いです。ただ先ほど言いましたように目に見えない部分はこちらで創りますので、科学的な部分とアート部分を合体させてクリエイトしています。

岡村:バランスが難しそうですね。

谷合:その他にですが、化粧品と食べ物はCGでやることが許されなかった時代があるんです。なぜならば、ケミカルな印象を与えてしまうことの懸念とCGで創ると嘘になってしまうからなのですね。

岡村:本物を見たいということなのですかねぇ。

谷合:例えば撮影でアイスクリームを撮ることはすごい大変なことなのですね。溶け具合とか、形状維持の為に寒いスタジオ撮影とか。当時は時代的にCGのクオリティの問題もあったとは思うのですが、時代とともにCGのクオリティが上がって来てそういったものもCGで制作することが増えました。

岡村:そうなんですね。

谷合:それとシズルを撮るのも難しいんですね。それを毎回毎回同じテイストで撮影するのは更に難しいので、そういうところでCG制作のメリットが出てきました。次に武田は3Dのデザイナーでありリグ、つまり骨の仕組みを研究しています。

岡田:どう研究するのですか?

武田春樹(以降武田):解剖の書籍とかで調べたりしますね。そういうのでそれぞれの骨の可動域がわかりますので、そこから情報を集めます。

谷合:武田は科学の知見がありますので、彼は科学、医学的に基づいてリグを制作していますから正しい動きを再現できます。

岡村:皆さんが研究者であり制作者であり、企画者みたいな感じなのですか。

永田:そうですね。区切りは緩いですかね。

谷合:私たちはどちらかというとジェネラリストの集団ですかね。ただ誰もが得意不得意があるので、得意な部分はスペシャリストとしてやってもらっています。企画提案はみんな参加できるようにしていますし、実制作はみんな教え合いながら進めています。

岡村:仲がいいスペシャル集団なんですね!

五感を可視化することを行っています

谷合:また私たちは五感を可視化することを行っています。視覚に変わるものとして、弊社には電子顕微鏡がありますので、それで"見える化"をしています。他の感覚に関しても様々な測定器機を用いて可視化しています。例えばですが、スポーツ医療ですと温度が早く下がりますよとか、高機能繊維においては摩擦のストレスがないとかを可視化して開発を手助けすることができます。

岡村:確かに数字を言われるより絵で見えた方が、消費者目線で考えると商品を買おうかなと思ってしまいますよね。

永田:ただ顕微鏡で撮ればいいとか、測定結果を図表にすればいいとかではなく、広告として消費者の方に伝わる表現にするところまでを責任を持つというところが弊社の考えです。

岡田:ハイドロイドさんは専門知識を持ったジェネラリスト集団ということですが、立ち上げる時にこういった各分野のスペシャリストのメンバーを集めようという構想はあったのですか?

谷合:ハイドロイドは"無いものを可視化する"というテーマが当初からあったんですね。それから永田が参加することにより、より科学の方向性を強くしたということはあります。元々アマナグループはフォトグラファー集団でした、その中でハイドロイドは、"無いものを創る"ということでスタートしました。デジタル技術の進歩で、写真でないもので表現できる幅が広がってきたということもありますし。

岡村:見えないものを具現化するのは大変ではないんですか?

武田:参考図書、資料集めて創ることは必須ですね。

永田:全く想像がつかないものは絵にすることが出来ないじゃないですか。

岡村:そうですね。想像できないものですから。

永田:なので、私たちは想像しないと絵にできないのです。ちょっとでもアイデアを見つけ、それを広げてくという仕事だと思っています。調べものをして、自分の中のインプット量をとにかく増やし、そこから次にアウトプットしていくということなのかなと思っています。

岡田:それだけ調べものをして創るとなると、1つ創るのにどのくらいかかるのですか?

谷合:通常の広告制作よりは長いと思います。一ヶ月から三ヶ月、長いものは一年以上かかる時もあります。

岡村:一年もかかるんですか!

現状のテクノロジーに満足していたら、1年後はないと思ったほうがいい

岡村:ちょっと話は変わりますが、何故、谷合さんは服のデザイナーさんからCGの会社を立ち上げようと考えたんですか?そんなに近い分野でないと思うのですが。

谷合:自分がファッションでデザイン画を描いていた時、紙と鉛筆がだんだんIllustrator とか Photoshop になっていく時代でした。デザイン業界はあまりデジタルを受け入れられなかった世界だったのですが、デジタルを使えば、効率を求めるというよりもっと新しいものができるんじゃないかと考え、いろいろ使い始めたのがきっかけです。

岡村:それで始められたんですね。

谷合:最初はPhotoshopのMac版を使っていましたが8bit256色しか出せない時代でした(笑)。それとAlias Sketchという3Dソフトを使ってました。その後シマセイキのハイパーペイントですね。

岡田:現在はファッションとの関係はあるのですか?

谷合:今、3Dプリンターでファッション関連のこともやっているのですが、これをきっかけにこれから新たなファッションを作ればいいと考えています。いずれテクノロジーが時代に合えば、そういう出し方をしていけばいいと思っていますし、新しい表現ができると思っていますので、これからが面白いです。

岡田:愚問かもしれませんが、テクノロジーに付いて行くのは大変でないですか?

谷合:ただ、現状のテクノロジーに満足していたら、1年後にはないと思ったほうがいいと思っています。

岡田:どうやって新しいテクノロジーの情報を得ているのですか?

武田:CGに関して言いますと、海外のサイトをチェックしていますし、イベントにも出かけるようにしています。

岡田:海外には御社のような科学技術をビジュアライズするような会社はあるのですか?

永田:科学技術をビジュアライズして綺麗に見せようというのは西洋の文化なので、日本は後塵を排している状況ではありました。

谷合:海外では、メディカルイラストレーターという職種が認知されていますから。

岡村:そうなんですね。

岡田:では、どういった人材を求めているのですか?科学に知見を持った方でないといけない、といったイメージなのでしょうか?

谷合:まずはやる気と探究心がある人を求めています。

岡村:遡ってですが、就職する時にどのCG会社に応募しようか、というのはどう選択したのですか?

武田:私は、学生の時代、生物学を専攻していまして、就職を検討した時に「3DCG 医療」「3DCG 生物」と検索して探していました。そしてハイドロイドを見つけました。

谷合:複合的に制作に携わりたい志向を持っている人は弊社に合うと思っています。若い人たちは伸びしろが大きいですから、興味を持ってやりさえすれば可能性は大きいと思います。

永田:マルチタレントがいいですよね。例えば生物学+CGとか、経理+音楽とか、なんでもいいんですが、2つの円が重なるようなことが面白いんだと思います。CGだけとかでなく、CGと音楽でもいいですし。そういった重なりが多いほど仕事の幅が広がるので、他人との差異を出すことにもなりますので、是非専門性の重なりを頑張ってほしいと思っています。

谷合:複合的な志向があることが必要なのかと思います。

岡田:そこが他とは違う強みですね。つまり、他とは違う会社なのかなと強く感じました。

岡村:今後の益々のご活躍を期待しています。今日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

株式会社ハイドロイド
株式会社ハイドロイド
〒140-0002
東京都品川区東品川2-2-43
TEL:03-6812-8008
http://hydroid.jp/
履歴
■設立
2010年4月

■The Studio
ハイドロイドは、CGを中心とした最新デジタル技術と卓越した描画力を持つ、ビジュアル制作会社です。CGによる事前のシミュレーションと的確なディレクションにより、合理的な制作を実現します。  我々は、撮影・2DCG・3DCGなど、可視化のための手法を問いません。最新技術・デバイスにいち早く対応し、作品をアウトプットしていきます。
クライアントの悩みを、共に、ビジュアルを用いて解決していくパートナーとしての働きを我々は担っています。

【イメージを可視化する】
未来のプロダクトやコンセプトカー、仮想の世界など、ハイドロイドは、この世にないモノやコトを具現化するプロ集団です。あらゆる手法を用いて、クライアントが求めるイメージ"見えないもの"を可視化していきます。

【知識を可視化する】
医療・ライフサイエンス・化学など、表現に知識が必要な分野でも、ハイドロイドは活躍しています。専門知識を持つスタッフによって、クライアントと同じ目線でプロジェクトに取り組みことができます。
INTERVIEWEE
谷合孝志様(代表取締役)
永田雅己様(CGディレクター)
武田春樹様(CGデザイナー)
INTERVIEWER
岡田文栄(マーキュリング)
岡村美里(ワオ・エージェンシー)
EDIT&PHOTO
野口光一(Enhanced-Endorphin)
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