実験4 クロマトしおり
クロマトしおり
色素と色の三原色
- 物には色がついているものがあります。その色を他の物に移すにはどうすればいいでしょうか。
- 答えは簡単です。色がついているものから、色の成分を抜き取ってやればいいのです。この、抜き取った色の成分を、色素といいます。
- 色素は、混ぜることで別の色へと変化します。例えば、赤色の色素と青色の色素を混ぜると、紫色の色素ができます。
- 色素の中でも、シアン(水色)、マゼンタ(濃いピンク色)、黄色の三色は、うまく混ぜることで、あらゆる色を作ることができます。
- この三色を「色の三原色」といいます。例えばプリンタは、この三色のインキをベースにしてカラー印刷を行っています。
混ざった色を分けよう!
- 色素を混ぜて別の色を作るのは簡単です。では、混ぜた色を再び分けるにはどうすればいいでしょうか。
- それを行う手法として、「クロマトグラフィー」というものがあります。
クロマトグラフィーを見てみよう!
- 写真のように、ろ紙に水性インキで点を描いて、ペットボトルキャップに入れた水の中に、端を浸してみましょう。
- するとこのように、水性ペンのインキの色が分かれました!インキがグラデーションを描いて広がっているのが分かりますか?
なぜ色が分かれたの?
- この現象は、水性インキの色が違うと、水との仲の良さも違うことを利用しています。
- 水はろ紙に染み込むと、ろ紙の繊維の間にどんどん染み込んでいきます。狭い隙間に水が入り込んでいく、「毛細管現象」という現象です。
- 水性インキは水に溶けやすいので、染み込んでいく水に乗ってろ紙に広がっていきます。
- ですが、上記で言ったように、水とインキの仲の良さは、インキの色によって違います。
- すると、水と仲がいい色は水と一緒にどんどん広がっていきますが、仲があまり良くない色はなかなか一緒に広がっていきません。
- インキの色によって、広がる速さが違うのです。
- なので、複数の色が混ざってできた色素は、色素が広がる速度の違いによって、混ざる前のに分かれます。
- このように液体を使って混ざったものを分ける手法を、「クロマトグラフィー」といいます。実際の化学実験でも使われている方法です。
クロマトしおりとは?
- クロマトしおりとは、クロマトグラフィーを用いて、インキの広がりによるグラデーション模様を楽しむことができる栞です。
- 作り方はとても簡単で、四角く切ったろ紙にひだをつけ、水性ペンで点を描いた後に水に浸けるだけです。
- 少し待って色が広がったら、水から揚げて乾かしましょう。きれいな模様がろ紙についています。
- あとはラミネートなどで適当に仕上げたら、クロマトしおりの完成です。
おまけ
- 今回のクロマトグラフィーは、水性インキと水の間の関係を用いました。水性インキは水と仲がいいので一緒に移動してくれます。しかし、油性インキは水と凄まじく仲が悪いので、まったく移動してくれません。つまり、水でクロマトグラフィーはできないのです。
- ですが、そんな油性インキも、エタノールとは相性がいいです。なので、水ではなくエタノールに浸せば、油性インキでもクロマトグラフィーができます。