サイエンス

実験するときは大人といっしょにやろう

実験1  スーパーボール

スーパーボールの材料

  • PVA-----------------------------30mL
    飽和食塩水--------------------100mL
  • 備考:とにかくゆっくり混ぜます。

第一章: スーパーボールのでき方

スーパーボールはなぜ固まる?

  • 今回作るスーパーボールは、PVA( ポリビニルアルコール) が水に溶けたものに大量の食塩( 飽和食塩水) を投入することで、水の中のPVA が集まる現象を利用しています。
  • この現象を「塩析えんせき」といいます。

そもそもPVAとは?

  • PVA(ポリビニルアルコール)とは、ビニルアルコール(C2H4O)が非常に沢山つながった(ような)構造を持つ分子です。
  • そのため、この分子はとっても大きいです。水とか二酸化炭素などとは比べ物にならないくらい大きいです。
  • これだけ大きいと、砂糖や食塩のように、普通の溶け方で水に溶けることはできません。自分の周りに大量の水分子を侍らせることで水に溶けています。水分子に何とか水の中にいられるよう支えてもらっている感じです。
  • このような水溶液を「コロイド溶液ようえき」といいます。身近なものだと、石鹸水などがこれに該当します。

塩析が起きるワケ

  • PVAは水と馴染みやすい分子です。なので、ちょっとやそっとでは水分子を離してくれません。
  • ですが、食塩(塩化ナトリウム)を入れるとどうでしょう。食塩も水に溶けるとき、自分の周りに水分子を連れてきます。食塩のほうがPVAより水分子を引っ張る力が強いので、PVA分子の周りの水分子を引き剥がします。
  • 食塩をどんどん追加していくと、PVA分子が侍らせていた水分子はどんどん奪われ、遂には水の中に溶けていられなくなります。
  • 溶けていられなくなったPVA分子はお互いに集まり、沈殿として現れます。これが塩析です。
    ※厳密には塩化ナトリウムの一部(=塩化物イオン)がPVA分子同士の仲立ちをしています。
    このPVA分子の集合体を丸く成形すると、今回の実験で作るスーパーボールになります。

実際の写真

①食塩水と色付きPVA溶液です。

②混ぜるとすぐに固まり始めます。

③現れたPVAの塊。水気をふき取って丸めていきます。

④できたもの。紫は成形に失敗しました。少し跳ねなくなります。
上手くできたら、落とした高さの大体4割くらいまで跳ねます。

第二章: よく跳ねるのはナゼ?

ボールが跳ねる原理

  • ボールが地面に衝突すると、ボールは縦に潰れるように変形しますが、ボールには形を変えられた時、元の形に戻ろうとするという性質があります。
  • この性質によって、潰れたボールは元の形に戻ろうとします。この時に地面を下向きに押すので、ボールは跳ねるのです。

跳ねる高さと弾性

  • この、変形が元に戻ろうとする性質を「弾性だんせい」といいます。
  • 弾性が強い物質は床に落ちた時、速く元に戻ろうとして地面をより強い力で押します。その結果、跳ね上がる速度も大きくなり、高く跳ねるのです。
  • 今回使うPVAはそこそこ弾性が強い物質なので、ボールにして地面に落とすとそこそこよく跳ねます。
    市販のスーパーボールに使われているのは「ポリブタジエン」というもので、こちらはもっと弾性が強いゴムです。とってもよく跳ねます。
  • 他にも例えば、鋼の弾性はかなり強いです。なので、鋼球を地面に落とすとこちらもよく跳ねます。地面が激突の衝撃に耐えられればの話ですが…。