丈の決死の行動がゴマモンをイッカクモンに進化させた。ユニモンを黒い歯車から解放した一行はムゲンマウンテンの山頂を目指す。自分たちがどこにいるのか、これからどこへ向かえばいいのか、答えを出すために。しかし、そこで子供たちが見たものは……。 「……これからどこに向かえばいいんだ……? 僕たち……どうすればいいんだよ~っ!」 丈の悲痛な叫びが辺りに響き渡る。子供たちが危険と引き換えに得たのは、新たなる絶望でしかなかった。そう、子供たちのいるファイル島は絶海に浮かぶ孤島だったのだ。 一方そのころ、ファイル島に広がる邪悪な影もその正体を現しつつあった。その名はデビモン! 黒い歯車でデジモンたちを狂わせていたのは全てデビモンの仕業だったのだ。 「倒せ! 選ばれし子供たちを倒せ!」 野望を阻止するために立ち向かった正義の戦士、レオモンをも圧倒的な力で下したデビモンは、次のターゲットを子供たちに定めた。 失意の子供たちにデビモン配下のオーガモンと洗脳されたレオモンが襲いかかる。その場はどうにか切り抜けたものの、子供たちの疲れは限界に近づいていた。そんな彼らの前に突然現れたのは、天使の絵が飾られた一軒の洋館だった。 「こんなうまい料理、生まれて初めてだ!」 「まさかお風呂まであるとは……」 「本物のベッドだ!」 思いがけない幸運に最初は不審がっていた子供たちの口からも次々と歓声が上がる。館の中にはおいしい料理に温かいお風呂、それにフカフカのベッドまで用意されていたのだ。ファイル島に来てから初めて満ち足りた気分になり、両親や元いた世界を思い出しながら眠りにつく子供たち。自分たちの運命がすでにデビモンの手の中に握られていることも知らずに……。 月明かり照らされた天使の絵がデビモンの絵に変わる。絵の中から抜け出すデビモン。全てはデビモンが子供たちを誘い込むために用意したワナだったのだ。 「夢はもう失われた……」 デビモンの合図で幻は消え失せ、館は一瞬で廃虚に姿を変えた。子供たちを乗せたまま、ベッドが宙に浮かび上がる。デビモンの強大な力の前に、成す術もなく翻弄される子供たち。 「なぜだ! なぜオレたちをこんな目にあわせる?!」 「お前たちが……選ばれし子供たちだからだ!」 太一の叫びに憎しみを込めて答えるデビモン。 「そう……私にとって邪魔な存在なのだ! 黒い歯車でこの世界を覆い尽くそうとしている私にとってはな!」 デビモンの力でバラバラに引き裂かれたファイル島が海の向こうを目指して動き出す。デジバイスの聖なる力で正気を取り戻したレオモンに絶体絶命の危機を救われたものの、子供たちもそれぞれ別の島に飛ばされ、離れ離れに……。 はたして子供たちの運命は……そしてデビモンが口にした「選ばれし子供たち」の意味とは、一体……?!
|