この世界に来てから使えなくなっていた光子郎のパソコンが突然起動した。しかもバッテリーの残量はゼロ。不思議がる光子郎たちの前に謎の工業都市が現れる。そこで一行を待ち受けていたのは、巨大な単三電池とプラモデル用のモーターで動く奇妙な工場だった。 他のみんなを先に行かせて巨大電池を徹底的に調べる光子郎。電池の表面に扉を見つけて中に入ると、電池の中はがらんどうで周囲の壁にはぎっしりとコンピューターのプログラムが記されていた。そのプログラム自体が電気を起こしていることを知った光子郎はますます興味を引かれ、プログラムの解析を始めた。嬉々としてパソコンに入力する光子郎。 「光子郎はんの顔……何か、今までになくいきいきしてまんな」 「もしかすると謎が解けるかもしれないよ。この世界がどういう世界で、君たちが何者か、とか」 不思議そうなテントモンに笑顔で答える光子郎。 「光子郎はんは? 自分が何者かなんて興味ありまっか?」 そう問い返された光子郎の耳に以前聞いてしまった両親の会話がよみがえる。 「……ねえ、あなた。いつになったら、あの子に本当のことを……」 「なあ。光子郎はん、光子郎はんってば!」 テントモンに肩を揺すられてハッと我に返る光子郎。気がつくとパソコンに打ち込んだプログラムが勝手に動き始めていたのだ。プログラムに反応するようにテントモンの体からケムリがのぼる。危険を感じてその場はパソコンの電源を切ったが、光子郎はそのプログラムがデジモンの進化に関係していることを感じ取っていた。 分析の結果を報告するためにいったん他の仲間と合流する光子郎。しかし当の太一たちは黒い歯車に操られた完全体の強力なデジモン・アンドロモンに追われていた。グレイモンとガルルモンが進化して対抗するものの、まるで歯が立たない。 「光子郎はん! さっきのプログラム!」 「……よし、行くぞ」 仲間のピンチに自ら実験を申し出るテントモン。その決意に心を動かされた光子郎は再びパソコンの電源を入れた。プログラム実行! パソコンから強烈な光があふれ出す。 「テントモン進化! カブテリモン!」 進化してグレイモンたちを助けに入るカブテリモン。一方光子郎もアンドロモンの弱点が故障した右足であることを見抜いていた。光子郎の指示でカブテリモンのメガブラスターがアンドロモンの右足を直撃する。こうしてアンドロモンを操っていた黒い歯車は破壊され、一行は無事に危機を乗り越えたのだった。
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