「そーら! そーら!」 「あーっ! もー、いいかげんにしてよー。目が回っちゃうっ!」 うれしそうに頭のまわりを飛び回るピヨモンを空は冷たく突き放した。ピヨモンの甘ったれた態度にはいいかげんうんざりしていたのだ。ただでさえ炎天下を歩き続けて疲れているのに、こっちの都合も考えずにベッタリ甘えてくるのだからたまらない。 「空、疲れてるんだ……、分かった。ピヨモン、おとなしくする」 「分かった分かった。一緒に歩こう」 それなのに、しょぼんと寂しそうにされるとつい甘い顔をしてしまう。 「あたし、うれしい! 空大好き!」 無邪気に喜ぶピヨモンの姿に複雑な心境の空。そんな彼女たちが草原で見つけたのは、偶然にもピョコモンたちの村だった。 ピョコモンたちに憧れの視線で見つめられるピヨモン。進化の秘密を聞かれたピヨモンは「それはきっと空を守るため」と答える。 「あたしを守る……? ただの甘ったれのくせして、何言ってるの……」 あきれながらも何かがひっかかる空。アグモンやガブモンがパートナーの危機に進化したことを思い出したのだ。そんな時突然村の噴水や井戸から炎が吹き出す。黒い歯車の力で凶哩サしたメラモンが襲ってきたのだ。逃げ惑うピョコモンや子供たち。ピヨモンは逃げ遅れたピョコモンたちのために一人で引き返す。その姿に胸を打たれ自らもピヨモンを助けに戻る空。しかしメラモンの強力な攻撃の前にピヨモンは傷つき、空もピンチに追い込まれてしまう。そして空にメラモンの炎の腕が迫ったその時。 「ピヨモン進化! バードラモン!」 傷つきながらも立ち上がったピヨモンがバードラモンに進化したのだ。苦戦しながらも空の応援を受けてメラモンに立ち向かうバードラモン。そして必殺のメテオウイングがメラモンの体から黒い歯車をはじき出した。黒い歯車から解放されたメラモンは正気に戻り、村も再び平和な姿を取り戻したのだった。 「……ピヨモンがバードラモンに進化して私を助けてくれた……」 バードラモンを見上げる空の胸を喜びが満たす。 「空! そーら!」 「ピヨモン!!」 元の姿に戻って空に抱きつくピヨモン。 ピヨモンを抱きしめる空の笑顔にもう迷いはなかった。
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