元の世界に戻る手がかりを探して歩き始めた太一たち。途中ヤマトはなにかとタケルを気づかうが、タケルはむしろ放任主義で行動的な太一の方になびいていまう。 タケルに悪気がないことを知りながらも、イライラをつのらせるヤマト。一行は湖のほとりに停車した無人電車でキャンプすることになったが、兄としての立場に焦りを覚えるヤマトはついにささいなことで太一とつかみ合いのケンカを起こしてしまう。その場は空に収められたものの、自己嫌悪を感じたヤマトは寝静まった無人電車をひとり抜け出した。 自らの心を落ち着けるようにハーモニカを奏でるヤマト。 「……いい音色だね」 そんなヤマトにガブモンがそっと寄り添う。静かな夜に、ヤマトのハーモニカがいつまでも優しく響き続けた。 しかし平和なひとときを打ち破るように突然湖が波立ち、岸の一部が浮島になって電車ごと沖に引きずられ始めた。島の一部に同化していたシードラモンのしっぽを太一が誤って刺激して、シードラモンを眠りから覚まさせてしまったのだ。 湖の中央に引き出され、身動きが取れないままシードラモンの攻撃を受ける太一たち。そして湖に落ちたタケルを助けようとしたヤマトがシードラモンに捕らえられてしまう。シードラモンに巻き付かれ、湖に引きずり込まれそうになるヤマト。身代わりになったヤマトを助けようとタケルは必死で助けを求めるが、誰にもどうすることもできない。 「もうヤマトの吹くハーモニカが聞けないなんて……あの優しい音色が聞けないなんて……!」 ヤマトのハーモニカを握り締めるガブモン。次の瞬間、ガブモンの体が白い光に包まれた。 「ガブモン進化! ガルルモン!」 光の中から美しい狼の姿に進化したガルルモンが現れる。すばやい動きで翻弄し、鋭い毛皮でシードラモンを切り裂くガルルモン。必殺のフォックスファイアーはシードラモンの吐く氷を圧倒し、完全な勝利を収めたのだった。 こうして慌ただしい一日が去り、一行はようやく安らかなひとときを得た。疲れ果てて眠る仲間から少し離れてハーモニカを吹くヤマト。 「今度、ぼくにもハーモニカ教えてね」 「ああ……」 目を覚ましたタケルの言葉にヤマトは朝日の中で優しくうなずいた。
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