第 13 話
1999/05/30放映予定
エンジェモン覚醒!
脚本
西園 悟
演出
角銅博之
作画監督
海老沢幸男
美術監督
清水哲弘

「ボクはこのままでいい。ずっとこの姿のまま、君のそばにいる!」 「うん! 約束だよ。ボクたち、ずっと友達だからね!」  赤ちゃんデジモンたちが暮らす「はじまりの町」で永遠の友情を誓ったタケルとパタモン。しかしそんな二人を運命は残酷にも引き裂こうとしていた……。 「選ばれし子供……倒す!」  崖の上から二人を見下ろしていたレオモンが、デビモンに操られるままにタケルに襲いかかる。タケルとパタモンはなんとか黒い歯車を取り除いてレオモンを正気に戻そうとするが、オーガモンまでが現れてますます不利な状況に追い込まれていく。そしてレオモンがタケルに向けて剣を振り上げたまさにその瞬間。 「フォックスファイヤー!」  タケルの危機をさっそうと救ったのはガルルモンの背に乗ったヤマトだった。ヤマトに続いて太一も駆けつけ一気に形勢逆転かと思えたのだが……。 「あいつだけは決して進化させてはならんのだ! そのためには一緒にいるあの最も小さき子供を……」  デビモンの送り出した黒い歯車がレオモンに突き刺さる。暗黒の力を注ぎ込まれてパワーアップしたレオモンが、グレイモンとガルルモンを吹き飛ばして再びタケルに迫る。 「タケルは……ボクが守るんだ!」  タケルの盾になって飛び出すパタモン。しかしレオモンの手がパタモンを捕らえ、ギリギリと締め上げる。 「うあ~~っ!」 「パタモ~~ン!」  傷つき苦しむパタモンの姿に悲鳴を上げるタケル。 「ちくちくバンバン!」  その悲鳴に応えたのは、空から振ってきたトゲモンだった。レオモンに体当たりして間一髪パタモンを助け出す。 「聖なるデジバイスの力を使うんです」  続いて響く光子郎の声。光子郎とミミがカブテリモンに乗って空から駆けつけたのだ。 「聖なるデジバイスには暗黒の力を消し去る力があるんです!」 「よーし! それなら!」  光子郎のアドバイスに従い、レオモンにデジバイスを突きつける太一。苦しむレオモンの体から徐々に歯車が押し出されていく。 「そういう事か!」  ヤマトも太一に続いてデジバイスを取り出す。 「うおお~っ! 私は……私は……!」 「聖なるデジバイスよ……レオモンから暗黒の力を消し去ってくれ~っ!」  デジバイスの輝きが頂点に達したとき、レオモンを操っていた黒い歯車はついに消滅した! 「……いつの頃だったか……うわさが流れ始めた……世界が暗黒の力におおわれた時、別の世界から『選ばれし子供達』がやってきて世界を救う、というものだ……」  正気に戻ったレオモンの口から、デジモン世界に伝わる伝説が語られる。 「今のファイル島はまさに暗黒の力におおわれている! そこに君達が現れた……」 「もしそうだとしたら……暗黒の力を消滅させれば、僕達はこの世界にとって不必要なものになる……」  レオモンの言葉に考え込む光子郎。暗黒の力の中心……ムゲンマウンテンに居城を高ヲるデビモンを倒せば自分たちは元の世界に帰れるかもしれないのだ。 「やろうぜ、みんな! どうせあいつを倒さなきゃ生きのびる事はできないんだ!」 「そうだな……やるしかないな!」  太一の言葉に大きくうなずき合うヤマトたち。ただ問題は……タケルとパタモンのことだった。傷ついたパタモンとタケルを心配してその場に残そうとするヤマト。しかしタケルとパタモンは絶対に首を縦に振ろうとしない。 「どうして! ボクも一緒に戦うよ!」 「他のみんなみたいに進化はできないけど……絶対役に立ってみせるよ!」  必死に訴えるタケルとパタモンの姿に固い決意を感じたヤマトは、仕方なく二人が一緒に行くことを許したのだった。  一方その頃、デビモンはタケルの抹殺に失敗した怒りに燃えていた。 「もはや、私自身が戦うしかないようだな……奴が現れる前に!」  許しをこうオーガモンにデビモンのデスクロウが突き刺さる。オーガモンは黒い歯車へと形を変え、デビモンに吸収された。さらに島中から集まった黒い歯車が、次々とデビモンの体に吸収されていく……!! 「な……何がどうなってるんだ!」  突然の地鳴りに襲われる太一たち。その目の前で城を突き破って現れたのは、信じられない大きさのデビモンだった。暗黒の力を一身に集めることで巨大化したのだ。 「くたばれ……」  デビモンの放った衝撃波が太一たちに迫る。 「ハープーンバルカン!」 「メテオウイング!」  絶体絶命の場面に現れたのは、遅れてムゲンマウンテンに到着した空と丈だった。 「今のうちに進化よ!」 「わかった!」  一斉に進化してデビモンに総攻撃をしかけるグレイモンたち。しかし……。 「そのような攻撃が……私に効くと思ったか!」  軽く手を振っただけで全ての攻撃を払いのけるデビモン。その圧倒的な力の前にグレイモンが、ガルルモンが、バードラモンが……次々と倒されていく。そしてついに残されたのは、タケルとパタモンだけに……。 「エアショット! エアショット!」  タケルと守ろうと、エアショットを連発するパタモン。懸命の攻撃にもデビモンはビクともしない。それでもパタモンはエアショットを打ち続ける。 「ダメだ……こんなんじゃ全然効くはずないよ……」  パタモンの目から悔し涙が流れる。 「どうして……どうしてボクは……どうしてボクだけ……進化できないんだよ!」  パタモンの叫びが悲しく響き渡る。グレイモンやガルルモンもタケルを助けようと最後の力でデビモンにしがみつくが……。 「このくたばりぞこない共が!」  デビモンの衝撃波がパタモンたちを容赦なく薙ぎ払う。タケルを守るものは……もう誰も残されていない。デビモンの冷たい視線がタケルの身体を射抜く。 「あ……ああ……」 「お前を始末すれば、私の不安は完全に消える……」  恐怖で立ちすくむタケルに、デビモンの巨体が歩み寄る。そして……! 「デス……クロウッ!」  デビモンの腕がうなりを上げてタケルに迫る。 「助けてパタモン!」 「タケル~~っ!」  とっさにタケルの方にジャンプするパタモン。しかし二人は共にデビモンの巨大な手のひらの中に……。あたりを絶望が支配した次の瞬間……握り締めたデビモンの手の中からまばゆい光が溢れ出した!! 「パタモン進化~~っ! エンジェモン!」  デビモンを押し戻し、光の中で進化するパタモン。その背中には6枚の白い羽根が……パタモンは天使型デジモン・エンジェモンへと進化をとげたのだ。 「パタモンが……進化した……」 「すまないタケル……約束を破ってしまって……」  呆然と見上げるタケルに、エンジェモンが悲しげに語りかける。 「だが進化してようやくわかったのだ! デビモンを倒せるのはこの私……エンジェモンだけだということが!」  タケルに背を向け、デビモンを睨みつけるエンジェモン。 「おのれ……エンジェモン……」 「お前の暗黒の力……消し去ってくれる!」  エンジェモンが右手を上げると、子供達のデジバイスが光を放ち始めた。そしてすべての光がエンジェモンの右手に集まっていく。 「エンジェモン! それほどの光のエネルギーと暗黒のエネルギーがぶつかればお前もタダでは済まないぞ!」 「だがこうするしかないのだ! たとえこの身がどうなろうとも!」 「つぶれろ~~っ!」  拳を構えるエンジェモンを叩き潰そうと、デビモンの両手が迫る。しかしそれより一瞬速くエンジェモンの必殺技がデビモンに打ち込まれた! 「ヘヴンズ……ナックルルル!」 「エンジェモン……死んじゃ嫌だ~っ!」  タケルの絶叫と同時に、まばゆい光の洪水が島中をおおいつくした。 「愚かな……愚かだぞエンジェモン……こんな所で力を使い果たしてどうする?」  光の波が去ったときに現れたのは、共にデータへの分解を始めたデビモンとエンジェモンだった。 「暗黒の力が広がっているのは、このファイル島だけではない! 海の向こうには、私以上に強力な暗黒の力を持ったデジモンも存在するのだぞ」 「な……、何だって!」 「エンジェモンなしでそいつらを倒せるかな? お終いだよ、お前達は……ハハハハハ!」  驚愕する子供達を嘲笑いながらデビモンは消滅した。しかし、エンジェモンもまた……。 「エ……エンジェモン……」 「タケル……泣かないで……きっとまた会えるさ……君が望むなら……」  涙で言葉が出ないタケルにそう言い残してエンジェモンは消滅した。宙に舞う、6枚の羽だけを残して……。 「このままお別れなんていやだよ……いつまでも君と一緒にいたいんだ……」  悲しみに膝を折るタケル。その時、羽がひとかたまりになって輝きを放ち、タマゴへと形を変えた。 「デジタマや!」  テントモンが驚きの声を上げる。 「エンジェモン……なの?」 「エンジェモンは……もう一度、卵からやり直すんだ」 「そうそう。ちゃんと進化すれば、きっとまた会えるわよ!」  ガブモンとパルモンが口々にタケルをはげます。 「……大切に育てるからね……」  暗黒の力が去り、再び平和を取り戻しつつあるファイル島で、タケルはそっと卵を抱きしめた。いつの日かまた、エンジェモンに会えることを信じて……。

○要チェック! パタモン涙のエアショット! 宿敵・デビモンとついに決着。 エンジェモン登場! そして涙の別れ……。
○登場デジモン アグモン→グレイモン  ピヨモン→バードラモン ガブモン→ガルルモン  テントモン→カブテリモン パルモン→トゲモン   ゴマモン→イッカクモン パタモン→エンジェモン

エンジェモン
進化段階:成熟期・A
必 殺 技:ヘヴンズナックル 6枚の白い羽根をもつ、正義と平和を愛する天使型デジモン。必殺技は拳から聖なる力を放つヘヴンズナックル。デビモンを倒すために全ての力を使い果たし、デジタマに戻ってしまった。
|あらすじ一覧へ戻る|
(C)本郷あきよし・東映アニメーション