スタプラ! star plus one

『スタプラ!』キャラクターエピソード

叶ゆりあ 前編

星華(せいか)学院。
世界的に有名な芸能学校であるここでは、芸能部とマネジメント部の生徒同士が「相棒(バディ)」になるのがルール。
だが、相棒はいまだ見つからずにいた。
かつては芸能部で将来を嘱望されていたが、ケガのためにマネジメント部に編入になって以来、夢を見失って腐っていたのだ。

誰もいない教室の窓から、ぼんやりと遠くの景色を眺めている。
この先、どうしよう——
あてもなく考えていると、学院長室に来るよう、校内放送で呼び出しがかかった。

扉を開けた瞬間だった。

「死ねぃっ!」

突然、謎の鎧武者が襲いかかってきた!
抜き身の刀を手にしている。
逃げなければ……!
追いかけてくる鎧武者から、わけもわからず逃げ回る!
人生で一番長く感じた時間だった。

「……こちらです!」

助けの声に導かれ、逃げ込んだ茶道部の部室。
その奥にある隠し部屋に、見たことのない美しい女性がいた。

「申し訳ございません。父が大変なご迷惑をお掛けしております」

女性は名乗りもせず、哀しそうに語り出す。

「ああ…わたくしが力及ばぬばかりに……。わたくし、この星華学院の生徒として、バディを本日中に決めねばならないのですが、父は結婚前の不埒な付き合いなど言語道断!と、名乗りを上げてくださった方を、次々と……。もはや、天命も尽きたということでしょう。名も知らぬお方、お会いしたばかりで心苦しいのですが、自刃の介錯をば……!」

そして突然、いきなり短刀を取り出して、えいやっ!と自分に突き立てようとする。
仰天して羽交い締めで止めると、女性はよよと泣き崩れるのだった。
バディが決まらないくらいで、何も自決することはない。
こちらもバディを決められずにいるのだと、事情を話して説得すると、

「それでは、あなたさまも自決を……死ぬ気も死なせる気もない、ですか?……自決するくらいならバディになろう……まことですか!? 何とお優しいお方……その優しさに、わたくし、この身をゆだねとうございます」

女性は古式ゆかしく三つ指をつき、頭を下げる。

ゆりあ
「叶ゆりあと申します。ふつつか者ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします」

それが、叶ゆりあとの出会いだった。

例の鎧武者は、何とゆりあの父親だった。

鎧武者
「その首はねられたくなければ吐けい。娘に近付く目的は何だ?」
ゆりあ
「お父さま。この方はバディとして、わたくしを厳しく教育して下さるのです。近く行われる文化祭で、わたくしの成長した姿を、お父さまにお見せするためですわ。どうぞ……どうぞ今度こそ、交際をお許しくださいませ」

鎧武者は沈思黙考した果てに、ようやく口を開いた。

鎧武者
「我が愛する娘、たっての頼みだ。やむを得ん……だが、ゆりあは茶道・華道・日本舞踊の古式ゆかしき家元、叶家の大事な跡取り娘。不埒な行いは許さぬ。人目に肌をさらすような辱めを与えれば、貴様の首と胴体が、永遠の別れをするものと思え!」
ゆりあ
「ご信頼なさってください。わたくしがこの身をゆだねた方なのです」

——ドスッ!
父上さまの刀が、首筋の頸動脈まであと5ミリの畳に突き刺さった!

叶ゆりあ

鎧武者
「身をゆだねた、というのはどういう意味だ?」

長い長い時間を費やして、ようやく誤解を解くことが出来た……。

ゆりあ
「バディになるというのは、夫婦になるも同じこと。この叶ゆりあ、妻として誠心誠意尽くして参ります。旦那さま、何なりとお申しつけくださいませ」

ゆりあと学内を歩いている時だった。

光貴
「おやおや、誰かと思えば。結局退学しなかったとは、虫けらのお前を哀れむ、情け深いバディが現れたのか?」
ゆりあ
「どなたですか、このお方は」
光貴
「世界の経済界に冠たる上保グループの光り輝く御曹司・上保光貴さ」

光貴とはかつて、芸能部で競い合うライバル同士だった。
ライバルと言っても、オーディションの結果を、裕福な実家のお金で買おうとするような男だ。どうしたってこちらに勝てない苛立ちが、いつしか憎しみに変わり、こちらがマネジメント部に移ってからは自分も転籍。毎日のように嘲笑を浴びせてきては、学院から追い出そうとあの手この手を尽くしてくるのだ。
光貴
「この僕を知らないとは、下流の中でもさらに下流……か、叶ゆりあ!? 名門中の名門・叶家の令嬢が……なぜこんなゴミのバディに……」

ゆりあは懐から短刀を取り出した。

ゆりあ
「大切な旦那さまを虫けらやゴミ扱い、決して許してはおけません。夫への侮辱は妻の屈辱……敵討ちです! 覚悟っ!」
光貴
「旦那!? 妻!? ちょっ…待っ……う、うわああぁぁぁ!」

刃物を振りかざすゆりあに追われ、光貴は逃げ出していった。

もうお分かりだろう。どうも生まれる時代を間違えたらしいゆりあは、父親に勝るとも劣らないトラブルメーカーなのだ。
露出の多い刺激的な衣装は避けたいと、口で言うのはいいのだが……その割には何かと服がはだけたりすることが多いし、人目もはばからずに「旦那さま」と寄り添ってくるので、良からぬ噂は立ちっぱなし。
ゆりあ
「本日の試験、誠心誠意、励んだつもりではありますが……旦那さまの目から見て、いかがでしたでしょうか?」

しかし、だ。ゆりあが誰よりも清く正しく美しい女性であるのは間違いない。
そのうえ心から慕ってくれて、優しく細やかな気遣いでいつも幸せな気分にさせてくれる。
ゆりあ
「……確かにこのままでは、従来の習い事以上に芸を深めるのは難しいかもしれません。何か新しいことを、学ぶ必要がありそうですね。さすがは旦那さま、とてもためになる御助言ですわ」

ゆりあのために、何をしてあげられるだろう?

叶ゆりあ 後編につづく

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