スタプラ! star plus one

『スタプラ!』キャラクターエピソード

エリス 臨海学校編

エリスとバディになってから、初めての夏。
うだるような暑さの中でレッスンした後でも、エリスは元気いっぱいだ。

エリス
「はい、バディさん。おつかれさま♪」

持ってきてくれた冷たい飲み物を、お礼を言って一口。
エリスはくすくす笑いながら、

エリス
「ほらほら、元気出して。もうすぐ臨海学校なんだよ、海辺の旅館に泊まるんだって! ビーチがあるし、動物園もあって、アイスが美味しいお店でしょ、それから……んーっと、とにかくいっぱいあるんだよ! ぜーんぶ、一緒に遊びに行こうね」
十萌
「ピッピー! イエローカードです。エリスちゃん、観光旅行とは違うんですよ。バディさんも、しっかり面倒を見てあげてくださいね」
エリス
「大丈夫だよ、十萌さん」

そして、太陽よりも眩しい笑顔をこちらに向けて、

エリス
「バディさん、一緒に最高の夏の思い出を作ろうね!」

臨海学校当日、バスは旅館に到着した。

エリス
「とうちゃーく! 海だあ〜〜〜! バディさん、さっそく出かけよ? 遊びに行くんじゃないよ、スターらしく、レッスンレッスン!」
十萌
「夕方まであんまり時間が無いですから、早めに帰って来るんですよ〜」
エリス
「は〜〜〜い♪」

エリスは持ち前の明るさで、土地で暮らす人々とふれあい、たちまち溶け込んでいく。
集まりがイマイチな漁協主催のノド自慢大会への、人集めも引き受けた。
その夜、旅館に戻って大広間へ行くと——

エリス
「うわぁ〜、すっごいごちそう!」
学院長
「うぉっほん。皆、楽しそうじゃな。だが、食べるのはワシの話を聞いてからじゃ」

学院長先生が、マイクを持って話し出す。

学院長
「こうして毎年行なっている臨海学校じゃが、バディの親睦を深めることだけが目的ではない。スターとは、全国の人々に笑顔をもたらして初めて認められる称号。学院から離れたこの土地の方々と交流し、人の喜びとは何なのかを感じ取るのじゃ。最終日には、地元の皆さんにも審査に加わってもらって、真夏のスターグランプリを行う。学んだ成果をしかと見せよ!」
エリス
「あの〜」
学院長
「真白君、質問かね?」
エリス
「いただきますは、学院長先生が言ってくれるんですか?」
学院長
「もちろんじゃ。いただきます!」

エリスが様々な場所で声をかけたこともあって、ノド自慢大会は大盛況!
最後にステージに登場したエリスも、大きな声援と拍手を浴びていた。

漁協の組合長
「ほんとにありがとよ。みんな喜んでるし、おかげで辺りの店も大繁盛だ! お礼と言っちゃなんだが、こいつをもらってやってくれ」

箱いっぱいの海の幸やお菓子に、エリスも大喜びだ。

漁協の組合長
「真夏のスターグランプリってのもやるんだってな? 今度は俺たちが人集めに協力するぜ!」

二日目の夜——

学院長
「二日目はどうじゃったかな? 土地の方々と交流しておる者もおるようで、ワシとしては嬉しいかぎりじゃ。与えられるレッスンにひたすら打ち込むのも、悪いとは言わん。しかし、新しい出会いを求めて勇気を出して飛び出していくことが、自らの力で運命を切り開いていくことにつながるのじゃ」
エリス
「自らの力で、運命を切り開く……」
学院長
「さて、明日の夜はクラス対抗のかくし芸大会じゃ。一同、とっておきのネタの準備は出来ておるかな?」

食事の後、皆が思い思いに過ごす中、

エリス
「あそこにいるのは、上保くんと……ファルセットちゃん? 何してるのかな?」
ファルセット
「衛星電話機能を起動します」
光貴
「もしもし、こちら光貴だ。例の件、手はずは整ったか?」
エリス
「なななな、何してるんだろ? ファルセットさんの耳に口を近付けて……も、もしかして、二人はそういう関係で、ほっぺに、ききききキス……きゅうぅぅぅ〜〜〜」

真っ赤になったエリスは、目を回して倒れてしまった。
翌日、二人でビーチを歩きながら、かくし芸の最後の詰めをしていると、

琴寝
「あ、エリスだ! お〜い!」
エリス
「琴寝ちゃん! 今日はレッスン、お休みなの?」
琴寝
「まあね。台風が直撃する前に遊んでおかないと、もったいないわよ。たまには下僕も楽しませてやんないとだし」
エリス
「台風?」
琴寝
「知らなかったの?」
エリス
「やだなあ、台風かあ……」

琴寝が「じゃ〜ね〜」と去っていくと、入れ替わりに上保光貴が現れた。

光貴
「やあ、奇遇だな」
エリス
「あ〜〜〜っ! 星華学院・上から目線ランキング年間グランドスラムの上保くん!」
光貴
「庶民の君たちも、リゾートを楽しんでるかい? 僕は自家用クルーザーでダイビングとしゃれこんでいるがね」
ファルセット
「クルーザーはわたしが運転しています。波が高くて船が揺れて、光貴さまのように「ママ〜! 沈んじゃうよ〜」と泣き出しても、抱っこして頭をなでてあげるヘルプ機能付きです」
光貴
「よ、余計な事は言わんでいい! さあ、行くぞ! 今晩のかくし芸大会は、我々が盛り上げるのだ!」
ファルセット
「はい」
エリス
「ファルセットさん、お互い頑張ろうね!」

そして、かくし芸大会本番。
レッスンで演技力を伸ばしていた甲斐もあり、エリスを中心としたコントは大受けだった!

エリス
「やったあ! わたし達のクラスの勝ちだ!」
光貴
「そ、そんなバカな……いや、これはあくまでリハーサル。本番は、真夏のスターグランプリだ!」
十萌
「その事なんですけど、台風が来るそうですし、もしかしたら雨天中止になっちゃうかもですよ」
光貴
「そんなことが認められるか! ファルセット、台風でも晴れに出来る機能はないか!?」

ドッと爆笑が起きた。

翌日、幸いにも台風は予報されていたコースから大きくそれてくれた。
エリスと二人、ビーチでレッスンしていると、ヘリコプターが上空から舞い降りてきた!

エリス
「きゃっ! なになに!?」
光貴
「ビーチでお楽しみの皆様、上保グループより、フードとドリンクの無料サービスです!」

たちまち観光客は、「無料だって!?」「すいませーん、1つくださーい!」と、押すな押すなの大騒ぎ。

エリス
「上保君にしては、ずいぶん親切だね。でも、海の家の人たちは、お客さんがいなくなって困っちゃうよ。どうしてこんな事するんだろう?」
観光客
「いや〜、太っ腹だねえ。ん? 紙コップに何か書いてある。なになに、真夏のスターグランプリでは、上保光貴とファルセットに清き一票を……?」
エリス
「分かった! 上保君は、真夏のスターグランプリをカイシュウしようとしてるんだ!」
十萌
「カイシュウ……買収の事ですか?」
光貴
「ふふふ、買収作戦は順調のようだな。発電機の方も手は打ったし、これで優勝は間違いなしだ」

と、エリスが突然、設営中のステージに上って歌い出した!

真白エリス

光貴
「あいつは……何のつもりだ?」
地元の人
「お、イベントかな?」
水着の女性
「パラソルも用意されてるわ! 行きましょうよ。暑くて日陰を探してたの」

歌声と日陰を求める人々が、続々と移動していく!

光貴
「ぐぬぬ……くっそぅ……」

歌いながら向けてくる視線で、エリスはこう言っていた。
「これで、バイシュウ作戦なんて気にせず、本番で勝負できそうだね!」

そしていよいよ、真夏のスターグランプリ本番——

エリス
「さあ、そろそろわたし達の出番だよ!」

——ガコンッ!
突然イヤな音がして、ステージの照明がダウンした!

エリス
「あ、あれ?」
光貴
「おやおや、ついてないねえ、こんな時に発電機が故障するとは」
エリス
「上保くん、何かしたんじゃ……」

と、何台ものトラックのヘッドライトのまばゆい灯りが、ステージを照らし出した!

真白エリス

漁協の組合長
「エリスちゃん!大丈夫だ! 土地の連中で、照明は何とかしてやる! しっかりやるんだぜ! 何たって、エリスちゃんは俺達のスターだからな!」
エリス
「……うんっ!」

エリスは素晴らしいステージを披露し、見事、グランプリを獲得した!

エリス
「バディさん! みんな! 一緒に作った、最高の夏の想い出だよ!」
学院長
「優勝おめでとう。賞品として、名産のスイカ1年分が届いとる。スターとは、人々と夢や希望を分かち合う仕事。それを一番実現できたのは、間違いなく真白君だ。これからも、頑張るんじゃぞ」
エリス
「はい、ありがとうございます!」

エリスたってのお願いで、スイカは応援してくれたみんなで分け合うことになった。

エリス
「だって、みんなで取ったグランプリだから、賞品もみんなで分けようと思ったの」

最後に残った一玉は、エリスが家に持ち帰ることに。
自分用のお土産は……エリスの笑顔だけで充分だ。

真白エリス

エリスの去った後の海の家は、以前にも増して大繁盛。
この夏限定のスイカが、大評判になっているのだ。
そのスイカには、満面の笑みをあしらった「エリス印」のシールが、ひとつひとつに貼られていた。

エリス 臨海学校編・おわり

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