各話あらすじ

第 74 話 『ニワトラの卵!よっち爺さんと妻の記憶』

2012/09/23 放送

脚本:田口智子  演出:角銅博之  作画:袴田裕二  美術:今野慎一 

普段から温厚な小松であるが、何やら今日はいつにも増してのニコニコ顔。トリコが理由を尋ねてみれば、なんとグルメジャンボ宝くじに当選したらしい。この宝くじは一等の金額が100億円という超大型宝くじ! …小松が当選したのは八等の100万円だったが。しかし、それでも大金には違いない。小松は日頃のお礼に、トリコに何かプレゼントをしたいと申し出る。そして折良く、今トリコには欲しい物があった。それは土地、それもたったの一坪が欲しいのだという。その土地は通称・巨万の一坪と呼ばれていた。猛獣ニワトラが、高級食材として高値で取引されている卵を産み落とす場所なのだ。まさに巨万の富が生み出される一坪であった。
土地の所有者は、"よっち"という名のガンコ爺さん。これまで数多くの大富豪が何度も買収を試みたが、全く聞く耳を持たなかったらしい。ところが今、その巨万の一坪が競売にかけられているのだという。これは卵を食べる絶好のチャンス! トリコと小松は早速よっちの家を訪ねてみることに。よっち爺さんの住まいは、みすぼらしい小さなあばら屋であった。中へ入ってみると、そこにはほんのりとニワトラの卵の匂い。その美味しそうな香りにトリコは、土地の買い取り交渉はどこへやら、卵を食べたいと言い出す始末であった。しかし、そんな突然のお願いにも関わらず、よっち爺さんは気分を害するどころか快諾してくれるのだった。
ニワトラの卵料理を食べながら、話に花を咲かせるトリコらとよっち爺さん。なんでも、若い頃のよっちは美食屋をしており、病気がちな妻を元気づけるべく必死で仕事に没頭していたらしい。しかし、そのせいで夫婦で過ごす時間は減り、よっちが久々に家へ帰った頃には妻はもう手遅れとなっていた…。妻を亡くし、よっちは後悔の日々を送っていた。そんな時、今では巨万の一坪と呼ばれる場所で、よっちは孵ったばかりのニワトラの雛を見つけた。そこは、かつてよっちが妻と初めて食事をした場所。そしてニワトラの卵は、妻の好きだった食材なのだ。まるで妻が生まれ変わったように感じたよっちは、以来、付きっ切りでニワトラを育ててきたのだという。
だが、そんな思い出の土地をなぜ手放そうとするのか。それは、よっち爺さんの余命が残り僅かだから。それで巨万の一坪を誰かに譲ろうとしたらしい。土地を買う為にトリコが用意した金は、小松がクジで当てた100万だけ。今まで交渉に訪れた富豪たちに比べれば、あまりに少額だ。しかし、よっちはトリコに土地を売ってくれるという。お金など、もう何の価値もないのだから。そして月日は流れ、よっちが天に召される時が来た。トリコらが弔いに巨万の一坪を訪れると、そこにはよっちが育てたニワトラと、まだ卵からかえったばかりの雛の姿があった。きっとよっちの生まれ変わりに違いない。そう、これでまた、夫婦二人は一緒になれたのだ…。

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