各話あらすじ

第 56 話 『御披露目!二代目襲名とメルクの星屑!』

2012/05/13 放送

脚本:高橋洋一  演出:細田雅弘  作画:山崎展義・小山知洋  美術:今野慎一 

食材でもある幻の砥石・メルクの星屑を手に入れるため、そして新しい小松の包丁を作ってもらうため、単身、超重力の洞窟・ヘビーホールを行くトリコ。過酷な環境を乗り越え、遂に辿り着いた最下層で、六年前から行方不明になっていた研ぎ師・初代メルクを発見する。初代メルクは、その厳めしい巨体に似合わず、非常に声の小さな男であった。声を何倍にも増幅する石・拡音石を使って、ようやく人並みの音量になるレベルである。しかも、この拡音石、つい最近見つけたばかりなのだという。寡黙な人物と噂されていた初代だが、その真相は、誰も声を聞き取れなかっただけであった。
初代が行方不明とされるほどヘビーホールにこもっていたのは、IGO会長にして旧友の一龍から受けた依頼を完成させるためだった。その依頼とは、美食神アカシアのフルコースメニューのサラダ、"エア"を捌く包丁を作ること。依頼を受けた時点で初代は引退を決意、娘に事情を話し、二代目の名を託していた。…その決意は、声の小ささから全く伝わっていなかったのだが。彼女の二代目としての自信のなさは、きちんと襲名がされていないせいだったのだ。一方、小松はメルクの工房で、己を卑下する二代目を励ましていた。しかし、どうしても彼女の不安を拭いきれない。そこで小松は二代目から包丁と食材を借り、厨房で料理をし始めるのだった。
小松が作った料理はどれも絶品であった。絶賛し、舌鼓をうつ二代目に小松は告げる。今日の料理は、どれも二代目がオリジナルで作った包丁でなければ調理することが出来ないものばかり。二代目はちゃんとメルク包丁の名を守っているのだと。彼女の腕前は、世界中の料理人が認めているのだ。実を伴った小松の言葉に、二代目は涙をこぼす。そしてやがて、無事に初代からメルクの星屑を譲り受けて、トリコが工房へと帰ってきた。小松のお陰で、二代目の顔からはすっかり迷いが消えていた。初代の生存も確認できて、約束通り、二代目は小松の包丁作りへ取り掛かるのだった。
包丁の材料として彼女が取り出したのは、竜王デロウスの牙だった。価格にすれば数十億は下らない、レア中のレア素材である。二代目としての勇気と自信をくれた小松への、彼女からの最高の礼であった。喜びながらも、包丁の完成までどれくらい時間がかかるか尋ねるトリコ。初代からのアドバイスで次に求める食材が決まったのだが、それは美味しい時期が決まっているため、少し急がなければならないのだ。その食材の名は、メロウコーラ。広大な砂漠に紛れる巨大な迷宮グルメピラミッド、別名・美食屋の墓場にあるのだという。グルメピラミッドと聞いて、トリコは呟く。「ゼブラの力が必要だな…」と。

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