第 7 話
1999/04/18放映予定
咆哮! イッカクモン
脚本
大和屋暁
演出
小坂春女
作画監督
信実節子
美術監督
飯島由樹子

 一行がムゲンマウンテンに近づくにつれ、あたりに冬景色が広がり始めた。雪合戦の話で盛り上がる太一たちをよそ目に、ひとりため息をつく丈。 「太一は気楽でいいよな、雪なんて降られたらこっちはたまんないよ……」  食料の調達や寝床の問題。考えれば考えるほど心配は増えていく。年長者としてひとりですべてを背負い込んだ気分の丈だが、実際には生真面目で慎重すぎる性格が災いしてなかなかみんなの信頼を得られないでいた。  その日の夕食でもそうだ。雪原にポツンと立っていた冷蔵庫。その中でせっかく玉子を見つけたのに、冷蔵庫の持ち主が気になって手をつけられない。太一たちに押されて結局食べることにしたものの、今度は目玉焼きに何をかけるかでムキになる始末。あげくにみんなから逆に心配された丈は、リーダーとしての自信をなくして落ち込んでしまう。  さらに決定的だったのは、太一とヤマトのケンカを止められなかったことだ。島全体を見渡すためにムゲンマウンテンに登ることを主張する太一。みんなの安全を考えて太一に反対するヤマト。二人に意見を求められても、自分は何も決断することができなかった……。 「このままじゃダメだ。僕がしっかりしなくては……。僕がみんなをまとめていかないといけないんだ」  何もできなかった悔しさ。優柔不断な自分自身へのいらだち。年長者としての責任感。思いつめた丈は寝静まる仲間たちを残してひとりムゲンマウンテンを目指した。 「オイラも一緒に行くよ」  そんな丈の背中にゴマモンが声をかける。 「ダメだ。あの山は危険だって言ってたじゃないか」 「まったく、素直じゃないよな丈は」  強がってひとりで行こうとする丈。気にせず後を追うゴマモン。こうしてムゲンマウンテンの山頂を目指す二人だけの冒険が始まった。  しかしそんな二人の前に強敵が立ちはだかる。黒い歯車の力で凶哩サしたペガサスの羽とユニコーンの角を持つ神獣系の強力なデジモン・ユニモンだ。自在に空を駆けるユニモンの攻撃に逃げ場を奪われて追いつめられる二人。駆けつけた空と太一に危ないところを救われたものの、ユニモンの素早い動きの前にバードラモンとグレイモンまでが返り討ちにされてしまう。 「そうだ! あれを外せば……」  ユニモンの体に食い込んだ黒い歯車を見つめる丈。みんなを守るために、年長者の責任を果たすために、丈はすくんだ足で覚悟を決めて崖を蹴った。ユニモンの背中に飛びつき、歯車に必死でしがみつく。 「ヒヒーーーン!」  いななき魔黷ワわるユニモン。無情にも振り落とされる丈。 「うわあああ」 「丈! ジョーーー!」  丈が地面に叩きつけられる直前、ゴマモンの体が光に包まれた。 「ゴマモン進化! イッカクモン!」  イッカクモンに進化して柔らかな毛皮で丈を受け止めるゴマモン。 「ハープーンバルカン!」  頭上から攻撃をしかけるユニモンを巨大な角を撃ち出して迎撃する。軽々とかわすユニモン。しかし失敗と思った次の瞬間、空中で炸裂した角が無数のホーミング弾になってユニモンを直撃した。ユニモンを狂わせていた黒い歯車が砕け散る。ホッとして腰を抜かす丈を背中にのせたまま、イッカクモンは勝利の咆哮を高らかに響かせた。 「見直したよ丈」 「丈先輩の勇気がゴマモンを進化させたのね」  口々に丈をほめる太一と空。 「丈の勇気というよりオイラが頑張ったおかげだと思うよ、多分……いや絶対そうに違いない」  ゴマモンが自信たっぷりに胸を張る。そんなゴマモンに素直に手を差し出す丈。 「ありがとうゴマモン、君のおかげで助かったよ」  丈の思わぬ反応に照れながら握手するゴマモン。 「ああ、ゴマモンが照れてる」 「うるさい! 照れてなんかないよ」  一同を明るい笑い声が包む。気分も新たに山頂を目指す丈たち。しかしそこで丈たちが目にしたのは、ある衝撃的な事実だった……。

○要チェック! イッカクモン初進化! 優柔不断な丈が年長者の責任を果たすために勇気を出して立ち上がる。
○登場デジモン アグモン→グレイモン  ピヨモン→バードラモン ガブモン  テントモン  パルモン ゴマモン→イッカクモン(初)  パタモン

ユニモン
進化段階:成熟期・A
必 殺 技:ホーリーショット ペガサスの羽とユニコーンの角を持つ神獣系のデジモン。必殺技は口から気功弾を吐くホーリーショット。賢くておとなしいデジモンだが、黒い歯車の力で凶哩サした。
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(C)本郷あきよし・東映アニメーション