第 75 話 2004/09/26 打ち砕け! 封印千年 屈辱の記憶

脚本
大和屋 暁
演出
西沢信孝
作画監督
伊藤智子
美術監督
徳重 賢

ガッシュとウマゴンの全力の攻撃でもビクともしないパムーンは、焦る清麿とサンビームを尻目に四天王としての能力を存分に見せ付けていた。ガッシュたちの攻撃を「バカ正直でまっすぐな攻撃」と一笑に伏すパムーン。だが彼にはガッシュたち同様、かつてはまっすぐな情熱に溢れていた時代もあった。それは千年前、ひとりの騎士をパートナーに人馬タイプの魔物ゴーレンと戦った頃。彼は人質の子供を罠だと見抜きつつ、しかし見捨てることもできずにゴーレンによって石にされてしまった。そのせいで千年もの間、孤独の責め苦を味あわされたのだ。

パムーンは叫ぶ「恐怖が生み出す強さがある。あの石にされた恐怖を味わうくらいなら自らの信念も曲げる」と。ゾフィスはかつてパムーンのように石にされた者たちを集め、石の呪縛から解き放つことと引き換えに絶対的な服従を彼らに強いらせた。石に戻されかけた者の姿を目の当たりにしたパムーンは、その恐怖から逃れるためだけに忠誠を誓うことを決意。例えゾフィスが小汚い奴でも、誇り高く優しさを備えた本心を裏切ったとしても…。だがその告白を聞いた清麿は不審に思う。ゾフィスが魔物たちを再び石に戻す能力を持っていると言いつつ、完全に石にされた者がいなかった、その事実を。

パムーンに動きを封じられ、絶体絶命の清麿たち。間一髪で強烈な一撃をかわしたものの、倒れ伏して起き上がる力さえ残っていない。しかしガッシュだけは違っていた。清麿、サンビーム、ウマゴン…仲間たちを救うために、火事場のバカ力とも言うべき不屈の闘志でパムーンに挑む。その勢いに圧倒されるパムーン。そんな彼に対し、ガッシュは訴えかける。「おぬしはもう怖がらなくてよい。石にも、千年経った魔界にも! 千年経った魔界で、おぬしの知っている者が誰もおらぬなら…私が友だちになるのだ!!」と。

実はガッシュにも抱えきれない孤独を味わった時代があった。それは彼が魔界の頃の記憶を奪われ、たったひとりで見知らぬ人間界に放り出されていた頃。寂しさと恐怖に怯え、打ちのめされた心でただ放浪するしかなかったガッシュは常に涙を流していた。だが清麿と出逢い、仲間たちと出逢ってようやく幸せを感じられるようになった。だからパムーンにもそうなって欲しいと思う。そして「今まで戦った者たちのためにも、優しい王様になる!!」と強い瞳で宣言すると、パムーンの虚しい戦いをやめさせるために全力の一撃を繰り出した!!