第 27 話 2003/10/12 わが息子ダニー

脚本
まさきひろ
演出
佐々木憲世
作画監督
清山滋崇
美術監督
渡辺佳人

世界的に有名な美術品、シェミラ像が日本にやってきた。 運んできたのは貿易商のゴルドーと魔物のダニー。像を守る仕事に誇りを持てないダニーを、ゴルドーは〝ダニーボーイ〟と呼んで半人前扱いする。気に食わないダニーは、 使いに出された先でガッシュと出会う。ガッシュは清麿から、シェミラ像を見ればブリの百倍の感動が味わえると聞いて、ウマゴンと見に来たのだ。俺がシェミラ像を運んで来たとダニーが言うと、ガッシュの目は尊敬に輝く。ダニーは照れながら、ガッシュにだけ一般公開前のシェミラ像を見せてやることにした。

美術館に戻ると、シェミラ像はギャングたちに奪われていた。どうやら港に停泊中の船に積み込まれたらしい。ガッシュは清麿へのメモをウマゴンに託し、ダニー、ゴルドーと共に船に乗り込む。ギャングたちをなぎ倒してゆくダニー。マシンガンで撃たれても、ゴルドーが魔本を開いて 「ジオルク」の呪文を唱えると、傷は見る間に回復する。 しかし、ギャングのボスはゴルドーを人質に取った。ワシ の命など構わずに像を守れと言うゴルドーだが、ダニーはついに動くことが出来なかった。ギャングのボスを倒したのは、駆けつけた清麿の「ザケル」だった。

ギャングたちは警察に逮捕され、ダニーはガッシュにシェミラ像を見せてやることができた。が、ギャングのボスがタンクローリーを奪い、シェミラ像をのせたパトカーに衝突した。車の方に倒れてくるタンクローリーを、ダニーが飛び出して支える。このままでは像もろとも下敷きになっ てしまう。ダニーは電撃でタンクローリーを吹き飛ばしてくれと、ガッシュに頼む。しかしザケルを放てば、車に残 されたダニーの魔本が燃えてしまう。悩み苦しむガッシ に、ゴルドーが言った。ダニーを一人前の魔物にして、魔界に帰してやってくれと。

ガッシュは涙を振り払い、ザケルを放った。ダニーは血まみれになって笑いながら、シェミラ像を入れたケースをゴルドーに差し出した。ダニーの魔本は、青白い炎に包まれていた。ゴルドーは燃える本に手を置いて「ジオルク」を唱え、ダニーの火傷を癒した。命を賭けて仕事をやり遂げたダニーが、きれいな姿で胸を張って魔界に帰れるように。ゴルドーはもはや、ダニーを〝ボーイ〟とは呼ばなかった。なぜならダニーは一人前の男であり、〝わが息子〟 だから……。ゴルドーに抱かれた腕の中で、ダニーは消えていった。