第 119 話 2005/08/14 ティオの元気 ただ一人のパートナー 傷が癒える時

脚本
大和屋暁
演出
角銅博之
作画監督
信実節子
美術監督
清水哲弘

恵が一週間のワールドツアーに出発することになった。しかしあまりにハードスケジュールなため、ティオが留守番することになる。彼女の預け先は清麿の家。そこにはガッシュやウマゴンもいて、いつも元気なティオは、まるで『お泊り会』を楽しむように彼らと布団を並べるのだった。しかしガッシュやウマゴンとは別の部屋で寝るような雰囲気になると、一瞬寂しい表情を見せる。その姿は、どこかに影を持っている模様…。しかも首の後ろには、痛々しい昔の古傷。そここそ、ティオの苦難の過去そのものだった。

ティオが人間界にやって来た頃、彼女はガッシュやウマゴンと同様に、辛く、寂しい時期を強いられていた。たったひとりのパートナーがなかなか見つからず、敵に襲われる日々…。絶望感に包まれる日も少なくはなかった。そんな時に再会したのが、魔界で仲が良かった魔物『マルス』だった。だが今の彼は、戦いに勝ち残ろうとティオにさえ牙を向けようとする。その表情は邪悪そのもの…。「裏切られた」…ティオを包むのは更なる絶望感、そして「信じたら裏切られる」という意識だけ。

マルスの攻撃を逃れ、客船から海に身を投げたティオ。そんな彼女を発見し、病院に運んでくれたのが恵だった。恵は赤の他人であるティオを心から心配し、毎日のように見舞いに来てくれた。そして自分の妹も同然に接し、硬く閉ざしたティオの心を根気よく癒そうとしてくれたのだった。しかし、そんな恵の態度に戸惑っていたのはティオ本人である。何故なら彼女は一度マルスに裏切られており、「信じたら裏切られるだけ」という恐怖心に取りつかれていたからだ。しかも自分は魔物…その正体を知ったとき、恵はどう反応するのか…。

いつしかティオは、「恵が本当のパートナーだったら…」と思い始めるようになっていた。マルスのせいで植えつけられたトラウマ、そして恵への信頼…せめぎ合う二つの感情。その矢先に知らされる、マルスたちの追撃の手。彼らが自分を狙ってやってくることを予測したティオは病院を抜け出そうとするのだが、そこに恵が姿を現した。すべてを話し、立ち去ろうとするティオ。それを涙ながらに説得する恵。すでに絆が生まれていた二人の関係はティオの心の壁をついに打ち砕き、ようやく二人は本当のパートナーになれたのだった。