スタプラ! star plus one

『スタプラ!』キャラクターエピソード

真白エリス 前編

星華(せいか)学院。
世界的に有名な芸能学校であるここでは、芸能部とマネジメント部の生徒同士が「相棒(バディ)」になるのがルール。
だが、相棒はいまだ見つからずにいた。
かつては芸能部で将来を嘱望されていたが、ケガのためにマネジメント部に編入になって以来、夢を見失って腐っていたのだ。
そして、申し込みの最終日――

春野十萌が、こちらを見て言った。

十萌
「ほら、エリスちゃん。あそこにいるのがマネジメント部の……あの人にもまだ、バディがいないんですよ」

十萌さんは何かとみんなの世話を焼いてくれる、学院の事務員見習いだ。

エリス
「う~~~っ、全力ダーーーッシュ!」

その女の子は、こちらのもやもやを吹き飛ばすような勢いで、全力で飛びついてきた!
芸能部の真白エリス、明るく元気なだけが取り得で、いつも空回りしっ放しと噂の女の子だ。

エリス
「ゲットーーーっ! ねえ、お願い。わたしのバディになって!」
エリス
「ホントにいいの? やったーーーっ!」

結局、勢いで押し切られるようにして承諾してしまった。
でも、これで良かったのだろう。
彼女だって相棒が見つからず追い込まれていたはずなのに、太陽のように笑顔が明るい。
そのポジティブさが、心にかかった雲を晴らしてくれるかもしれない。

エリス
「これで退学せずに済むよ~。バディが見つからないと退学って、厳し過ぎるよねえ」
十萌
「二人とも、コンビ結成おめでとうございます。成績が悪くて二人そろって退学、なんてことにならないように、いっしょにファイトなのですよ!」
エリス
「あのね、わたしの夢は、アイドルになって、おっきな建物でコンサートをすることなの。こんにゃく男女に、笑顔いっぱい夢いっぱいになってほしいんだ!」
十萌
「老若男女ですよ、エリスちゃん。二人なら、きっと夢は叶うのです。がんばってくださいね!」

そうしてレッスンの日々が始まった!

真白エリス

ある日、レッスンの後――
帰り道に商店街を通ると、エリスは途中で足を止め、お店の人やなじみのお客さんたちと笑顔で話している。いつも自分のことより人のこと、誰かのために全力で尽くそうとするエリスは、商店街の人気者。客足の伸びない商店街のため、マスコットガールのボランティアをしているのだ。

エリス
「バディさーーーん!」

エリスは手を振って呼びかけてくる。

エリス
「あのね、今度、商店街でイベントがあるんだ。そのイベントで歌ってみないかって誘われて……オーディション、受けてみてもいいかな?」

エリスの夢は自分の夢じゃないけれど、今は支えてあげよう。
十萌さんのプレゼントしてくれた、赤いお手製ベリートラッドが衣装に使えるだろう。

真白エリス

通い慣れた商店街が会場ということで、エリスはいつものように空回りすることなく、オーディションを乗り切った。
結果は見事に合格!
小さいとはいえ、ステージに立てるのだ。

エリス
「やったあ! やったよ!」

こちらの手を取って大喜びのエリス。
エリスの夢は自分の夢……なのだろうか?
打ち合わせ中、エリスはいつになく緊張していた。

エリス
「わ、わたし、ちゃんと歌えるかな?」
光貴
「フッ、君の歌なんて、どうせ誰も聞きやしないさ」
エリス
「あ~~~っ! 星華学院イヤな人ランキングナンバーワンの上保くん!」

現れたのは同じマネジメント部の上保光貴だった。
光貴とはかつて、芸能部で競い合うライバル同士だった。
ライバルと言っても、オーディションの結果を、裕福な実家のお金で買おうとするような男だ。どうしたってこちらに勝てない苛立ちが、いつしか憎しみに変わり、こちらがマネジメント部に移ってからは自分も転籍。毎日のように嘲笑を浴びせてきては、学院から追い出そうとあの手この手を尽くしてくるのだ。

光貴
「ちんけな商店街のアイドルとは、君たちにお似合いじゃないか。おおかたこのイベントも、我が上保グループが開店するショッピングセンター・ウワボパークに対抗するのが目的だろう。無駄無駄無駄!ってとこかな。今日は虫けらどもの無駄なあがきを観察に来たのさ」
エリス
「さすがはイヤな人ランキングナンバーワン……虫けらどもとか無駄なあがきとか、そんな漫画みたいなセリフ、普通はなかなか言えないよ……」
光貴
「妙なとこに感心するね。ま、いいさ。君たちはどうせダメダメな成績で、明日にでも退学だ」
エリス
「バディさんはダメダメじゃないもん!」
光貴
「せいぜい頑張るんだな。ちなみに、僕たちも同じ日にライブを行う。一緒に街を盛り上げようじゃないか」
エリス
「アッカンベーーーッ! バディさん、絶対負けないように、商店街イベント盛り上げようね!」

うなずいてみせて、エリスを勇気づける。
だが、この時はまだ、とてつもない強敵の存在を知らなかったのだ――

真白エリス 後編につづく

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