『スタプラ!』キャラクターエピソード
星華(せいか)学院。
世界的に有名な芸能学校であるここでは、芸能部とマネジメント部の生徒同士が「相棒(バディ)」になるのがルール。
だが、相棒はいまだ見つからずにいた。
かつては芸能部で将来を嘱望されていたが、ケガのためにマネジメント部に編入になって以来、夢を見失って腐っていたのだ。
そして、申し込みの最終日――
春野十萌が、こちらを見て言った。
十萌さんは何かとみんなの世話を焼いてくれる、学院の事務員見習いだ。
その女の子は、こちらのもやもやを吹き飛ばすような勢いで、全力で飛びついてきた!
芸能部の真白エリス、明るく元気なだけが取り得で、いつも空回りしっ放しと噂の女の子だ。
結局、勢いで押し切られるようにして承諾してしまった。
でも、これで良かったのだろう。
彼女だって相棒が見つからず追い込まれていたはずなのに、太陽のように笑顔が明るい。
そのポジティブさが、心にかかった雲を晴らしてくれるかもしれない。
そうしてレッスンの日々が始まった!
ある日、レッスンの後――
帰り道に商店街を通ると、エリスは途中で足を止め、お店の人やなじみのお客さんたちと笑顔で話している。いつも自分のことより人のこと、誰かのために全力で尽くそうとするエリスは、商店街の人気者。客足の伸びない商店街のため、マスコットガールのボランティアをしているのだ。
エリスは手を振って呼びかけてくる。
エリスの夢は自分の夢じゃないけれど、今は支えてあげよう。
十萌さんのプレゼントしてくれた、赤いお手製ベリートラッドが衣装に使えるだろう。
通い慣れた商店街が会場ということで、エリスはいつものように空回りすることなく、オーディションを乗り切った。
結果は見事に合格!
小さいとはいえ、ステージに立てるのだ。
こちらの手を取って大喜びのエリス。
エリスの夢は自分の夢……なのだろうか?
打ち合わせ中、エリスはいつになく緊張していた。
現れたのは同じマネジメント部の上保光貴だった。
光貴とはかつて、芸能部で競い合うライバル同士だった。
ライバルと言っても、オーディションの結果を、裕福な実家のお金で買おうとするような男だ。どうしたってこちらに勝てない苛立ちが、いつしか憎しみに変わり、こちらがマネジメント部に移ってからは自分も転籍。毎日のように嘲笑を浴びせてきては、学院から追い出そうとあの手この手を尽くしてくるのだ。
うなずいてみせて、エリスを勇気づける。
だが、この時はまだ、とてつもない強敵の存在を知らなかったのだ――
真白エリス 後編につづく